映画『トリプル9 裏切りのコード』:悪徳警官とロシア・マフィアの冷徹な強奪劇スリラー

『トリプル9 裏切りのコード』のアンソニー・マッキー(左)とケイシー・アフレック。Bob Mahoney

悪徳警官、ロシア・マフィア、強奪の意外な結果で高まる緊張、冷徹な強奪劇スリラー。

悪徳警官。ロシア・マフィア。スーパーヒーロー風のマスク。切断された頭部。意外な結果で血まみれになる強奪劇。これらは、類を見ない犯罪映画『トリプル9』を構成する、ほんのいくつかの要素でしかない。ここで描かれる仕返しのサーカスを仕切るのは、2005年のクラシックなウェスタン復讐劇『プロポジション —血の誓約—』でメガフォンをとったオーストラリア出身のジョン・ヒルコート監督だ。

『トリプル9』は人の心の闇に深く入り込もうとはしない。だが、ジョージアの犯罪多発区域の騒音やノイズが覆う。まるで破壊のために作られた機械の出す音のように。ケイシー・アフレックは、法を守ろうとするアトランタの新人警官、主人公クリス・アレンを演じる。その彼の疑わしい相棒、警官、そして特殊任務の元軍人を、キウェテル・イジョフォー、アンソニー・マッキー、クリフトン・コリンズJr.、アーロン・ポール、ノーマン・リーダスが演じ、結託してクリスを嵌めようとする。彼らは、イリーナ(ケイト・ウィンスレットのアクセント、ウィッグ、振る舞いと、妖艶さには驚きだ)の部下のロシア人から強請られて利用されている。すでに彼らはイリーナの命令で銀行を襲った。そして彼女はさらにその欲を深める(彼女のボスを救い、その秘密を手に入れるための何か)。イリーナの命令を実行する間、警察を混乱させるために、悪徳警官たちは新人警官のクリスを殺すことにして、警官殺害を意味する緊急コード“999”を発動させようとする。混沌が始まり、本文の見出しのような展開となる。

理解できただろうか?脚本のマット・クックはストーリーを分かりやすいものにはしなかった。あらすじを追うためのアプリが欲しくなるかもしれない。ただこれだけは明かそう。クリスは死なない。実は、彼は腐った仲間を裁きにかけることを決意する。今にも飛び掛ろうととぐろを巻くコブラのようなテンションで演じるベテラン俳優、ウッディ・ハレルソンによるはぐれ刑事の叔父、ジェフリー・アレン以外に彼の味方はいない。彼は「お前の仕事は、モンスターに勝つことだ」とクリスに言う。彼がそれを遂行していくのを見守る視点を映画にしている。『トリプル9』は『レサボア・ドッグス』とは全く違うが、意外な展開に満ちた、スリル満点の映画だ。



『トリプル9 裏切りのコード』

キウェテル・イジョフォー、ケイト・ウィンスレット、ケイシー・アフレック出演 ジョン・ヒルコート監督
ヒューマントラストシネマ渋谷他全国公開中
http://999-movie.jp/

Translation by Kise Imai

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