2016年上半期のベストEDM、エレクトロニック、ダンスアルバムを一挙紹介

フルームの新作アルバム『スキン』はその年のビートを形作り、前作『フルーム』を超える仕上がりになっている。(Photo by Kieran Frost/Redferns)

2016年上半期に、フルームは最も素晴らしいEDMアルバムの一つを作り上げた。


2016年の大半にわたりEDMを盛り上げどころにするのは非常に容易いものであった ─ まず昨年後半に大物DJデヴィッド・ゲッタが『If You’re Happy and You Know It』のEDMカヴァーをリリース。ところでEDMバブル崩壊のニュースにもかかわらず、アヴィーチーはバンジョーを引っさげ、SFXエンターテイメントは、露出した腹部を高く上げ、トロピカルハウスの到来からクロスオーバーするリズムのためにグローバルなサウンドを牽引する新たなプロデューサーたちまで、沢山の活気の形があった。

バウアーのデビューアルバム『Aa』は、EDMの言葉のあやから逃れるために異なる方針をとるプロデューサーを見つけ、不動の大ヒットシングル『ハーレム・シェイク』のミームから距離を置き、アルバムのほとんどで安易に利益を生む事を差し控えた。代わりに彼は、マッド・ディセント系からさらなる狂乱を送ることになるであろう英国グライム界の新たなスター、ノヴェリストやプッシャー・T、M.I.A.との気骨あるコラボレーションを提案した。また一方で、カイゴのアルバム『クラウド・ナイン』やマトマの『パラダイス』のようなシングルは、気だるさや、風に運ばれてやってくるトロピカルハウスのスティールドラムの音色が、まさに2016年の雰囲気を作るものであることを証明している。鼻から抜けるような低音ベースや、ヘトヘトに疲れるような高速のBPMの時代は過去の物なのかもしれない。より緩やかでメロウネスな音楽は、EDMの次のフェーズとなるだけでなくポップ・ミュージックの法則かもしれない。これらの揺らぎのあるビートは、ジャスティン・ビーバーやフィフス・ハーモニーのシングルにまで幅広く見ることができる。両者の違いを分けると、オーストラリア出身のサウンドクラウドの神童フルームは、アルバム『スキン』で前者の弾けるようなダブステップと、後者の夢見るようなパッドを融合させている。ベックやアルーナジョージ、ヴィンス・ステイプルズらがゲスト参加する同アルバムは、伝播性のあるハイブリッドな音楽を生み出している。

Translation by Yuka Ueki

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