1989年のアルバム『Disintegration』のリリースにより、ザ・キュアーの人気は最高潮に達した。もはやお兄ちゃんが愛するクールなカルト・バンドではない。どんなラジオでも流され、ショッピング・モールの駐車場に停まっている若者の車からも聞こえてくるようなバンドになったのだ。中部アメリカ中の若者の部屋に、ロバート・スミスのポスターが貼られていたが、それは変わり者で不機嫌な若者に限った話ではなかった。だが、ほとんどのファンは「Pictures of You」や「ラヴソング」を繰り返し再生し、「セイム・ディープ・ウォーター・アズ・ユー」はスキップしていたのではないだろうか。この曲は約9分の曲で、救いようがないほど絶望的に見える激しい情事について歌ったものだ。「君と同じ深さで泳ぐのは難しい/溺れるのが浅瀬なら、失うものは少ないだろう」とスミスは歌う。