ポール・マッカートニーが語るライヴ前のサウンドチェック・ショー:「これはマッカートニー族の儀式だ」

ー50周年といえば、フィラデルフィアのサウンドチェック・ショーで『夢の人(原題:I’ve Just Seen a Face)』を聴いた時、40年前のウイングスのアメリカ単独ツアーで、解散後初めてビートルズの曲をプレイした時のことを思い出しました。ツアーを続ける中で、ライブでまだ披露していない昔の曲はありますか?


たくさんあるよ。何百万曲も(笑)。別にそのことにこだわってはいないけど。昔の曲がラジオで流れてきたり、コンピレーション・アルバムで聴いたりして、突然「やってみよう」と思うんだ。


ー最近ライブに取り入れた昔の曲は何ですか?


『ラヴ・ミー・ドゥ(原題:Love Me Do)』だね。何年も前から、周りからのリクエストはあったんだ。デヴィッド・ボウイにも「『ラヴ・ミー・ドゥ』をやってくれよ」って言われていた。僕としては(ステージでプレイするには)スケールの小さい曲だと思っていたけれど、あまりにも多くの人から急かされるので、「リハーサルしてみてだめだったらやらないよ」って言ったんだ。でも実際にやってみたらバッチリうまくいったんだ。今では、すごいお気に入りさ。


やりたくない訳ではないけれど、今はプレイしていない曲もいくつかあるよ。リハーサルはしているけれど、まだステージでやるレベルにまで達していないんだ。ライブに向かない曲もあるしね。『バック・シート(原題:The Back Seat of My Car)』(アルバム『ラム』(1971年)収録)は、いつもやってみたいと思っている。チャレンジはしてみたけど、ちょっと複雑だった。『アンクル・アルバート~ハルセイ提督(原題:Uncle Albert/Admiral Halsey)』(アルバム『ラム』収録)もいいと思う。

ー逆に、あなたの初期のソロやウイングス時代の作品は、ビートルズ時代のものに比べて構成や細かいアレンジがよりシンプルになっている、と言われていますが。


あのさ、リハーサルの時だったと思うけど、上手くいかなかったことがあってね。「絶対に歌える。ちょっと調子が悪いだけさ」と言って何曲かはがんばってみたんだけど、結局上手くまとまらなかった。「上手くいかないってことがわかってよかったよ。この曲はステージでやるべきじゃない」って強がってみせたけどね。


ーサウンドチェックは、技術的な確認を行うのが重要な目的ですが、オープニングのブルース・ジャムのギター・フレーズを弾くあなたの表情を、スクリーンを通して見ていると、本番の観客と同じようにあなた自身が楽しんでいるように見えました。


昔は、ギターをジャラン、ジャランと弾いたら「はい、次のギター」って感じの繰り返しで、そんなリハーサルには飽き飽きしていたんだよ。だからいつもエレキギターでスタートするんだ。少年時代のワクワク感をいまだに感じるね。実際にジャム・セッションしながら、ひとつやふたつ素晴らしいものが出てくることもあるんだ。

Translation by Smokva Tokyo

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