ザ・ビートルズ『リボルバー』についてあなたが知らない15のこと

(Photo by Santi Visalli Inc./Getty Images)


1. ジョン・レノンは『イエロー・サブマリン』で危うくく死にかけていた

1966年6月1日の水曜日、ビートルズは、マリアンヌ・フェイスフル、ザ・ローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズ、ジョージ・ハリスンの妻パティら血気盛んな連中とともに、『イエロー・サブマリン』に効果音を載せるため、アビイ・ロードのスタジオ2に集まっていた。

『The Goon Show』(訳注:1950年代に人気を博した、英国BBCラジオのコメディ番組)の大ファンだった頃から、ジョン・レノンは常にお笑いに特別な関心を持っていた。

気分はすっかり潜水艦長のレノンは、まずはうがいをしながら歌おうとして失敗、次に『リボルバー』のエンジニア、ジェフ・エメリックに、水中で歌わせてくれないかと無理を言っていた。

エメリックは後にこう書いている。「ジョージ・マーティンは何とかレノンを諦めさせようとしていたが、私は代案を思いついていた。マイクを水に沈めて、ジョンに歌わせてみてはどうだろう?」

水没から保護するため、コンドームでしっかりとマイクを包んだところ、レノンが皮肉を言った。「マイクが妊娠したら困るだろ」。そしてマイクをミルクのカートンの中に落としたのだった。

音が遠すぎたため、この作戦は却下されたのだが、この時のレノンがどれほど幸運だったか、当時は誰も気がつかなかった。エメリックが振り返る。「数年たってから気がついた。当時使っていたマイクはファンタム電源を使っていた。つまり、マイク自体に実際に電気が通じている状態なんだ。英国では240ヴォルト方式を使っているから、レノンを始めそこにいた全員があっさり感電死することだってありえたんだ。そして私は、歴史上初めて、スタジオでクライアントを殺害したレコーディング・エンジニアとして名を残すことになってもおかしくなかったんだ」

2. ビートルズ・サウンドの秘密兵器の使用は『リボルバー』から始まった

『リボルバー』の音のシチューに主な原材料があるとすれば、それはビートルズとジョージ・マーティンが作り出した、事情通がアーティフィシャル・ダブル・トラッキング(ADT)と呼ぶテクニックだった。例えば『トゥモロー・ネバー・ノウズ』で、レノンの声がまるで地球外のもののようになるところで聞くことができる。

「ADTとは、音のイメージをわずかに遅らせたり早めたりすることで、二重に聞こえるというものだ」とジョージ・マーティンは『ビートルズアンソロジー』で語っている。「写真に例えれば、ネガが2つあるようなものだ。1枚のネガを正確に焼けば、写真が1枚だけできる。音のイメージも1つだけなら、1つのイメージにしかならない。すかし、ほんの数ミリセカンド、8から9ミリセカンドほどずらしてやれば、こもった電話のような音質が得られるんだ」

レノンはもっとあっさり表現している。「僕らは2重のつなぎ目と呼んでるけどね」

3. 『タックスマン』のギター・ソロはポール・マッカートニーが弾(ひ)いていた

『リボルバー』以前は、ビートルズの楽曲のギターソロと言えば、レノンによる一部の例外を除き(例えば『ロング・トール・サリー』の最初のソロなど)、およそジョージ・ハリスンが担当していた。

ハリソンはまた、初期のビートルズのアルバムで作者やシンガーとしてのクレジットは限定的なものにすぎなかったが、『リボルバー』では大きく露出することとなった。このアルバムには彼の楽曲が3曲収録されている。特にオープニングナンバーの『タックスマン』 には、ハリがあってハイエナジーで、このアルバムの雰囲気を決定づけている。ところがハリスンは、このファズの効いた名人芸のソロを演奏していなかったのだ。

「この曲のセッションはいささか緊張感のあるものとなった」とエメリックは回顧する。「ジョージがギターソロの演奏にかなり苦労してね、実際テープを2分の1倍速で聴き直すと、まともな演奏ができていなかった。ジョージが苦戦するのを何時間か待っていたら、ポールとジョージ・マーティンが相当イライラし始めてね。だって結局これってハリスンの曲だし、これにこんなに時間をかけるつもりは誰にもなかったんだ。」

手厳しい指摘だが、結局そこでマッカートニーが登場し、60年代で最良の1つに数えられているギターソロを演奏したのだった。ハリスンのギタリストとしての足跡は、『アイム・オンリー・スリーピング』の逆回転録音と、マッカートニーの楽曲『ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ』でのR&Bスタイルのブレイクにより深く刻まれている。

Translation by Kuniaki Takahashi

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