Netflix『ゲットダウン』:バズ・ラーマンが描く、ヒップホップ誕生の知られざる物語

「もちろん過去にも行ったことはあったよ」ラーマンはそう話す。「でもネルソンと一緒に行ったブロンクスは、まるで違う街のように感じられたんだ」

「作品で注目してほしい点のひとつは、ブロンクスの特殊な地形だね」ジョージはそう話す。「ニューヨークの他のエリアとは違って、ブロンクスは坂道だらけなんだ」

「ニューヨークのどこにも、あんな場所は他にないよ」ラーマンがそう付け加える。「カップルたちが座ってるあの階段、まるでパリで撮影されたみたいだろう?ブロンクスにはヨーロッパを思わせる風景がたくさんあるんだ。あんな巨大な階段は、ニューヨークじゃブロンクス以外では見られないよ」

ラーマンとジョージという2人の完璧主義者が手がけた『ゲットダウン』は、細部まで再現されたディティールも大きな魅力だ。ストーリーはあくまで史実に基づきながらも、エゼキエルという10代の少年ラッパーとDJシャオリン・ファンタスティック(ドープのシャミーク・ムーアが演じている)、そしてグラフィティアートからブレイクダンスまでこなすパーティ集団、ゲット・ダウン・ブラザーズという架空のキャラクターたちが繰り広げる物語は、エンターテイメント作品としても超一流だ。

「僕がこの作品で最も誇りに思っている点のひとつは、当時を知る人々がはっとするようなディティールなんだ」ジョージはそう話す。「シャオリンが(後にゲット・ダウン・ブラザーズに加入する)ララと会う場面で、『この靴はA.J. Lesterでゲットしたんだ』っていうセリフがあるんだ。それが昔125th ストリートにあった人気店だってことを知ってるのは、実際に当時のハーレムで育った5,000人くらいだけなんだよ。そういうマニアックなことを知ってる人たちがこの作品を見て、『こいつらマジで分かってんな』って思ってくれたら最高だね」

Translation by Masaaki Yoshida

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