ブラッドポップ、レディー・ガガの新曲『パーフェクト・イリュージョン』の制作を語る

マーク・ロンソン、ケヴィン・パーカーと共にレディー・ガガの新曲『パーフェクト・イリュージョン』をプロデュースしたブラッドポップ、その制作過程について語る。(写真:レディー・ガガのインスタグラムより)

「電車の運転手に例えるとしたら、彼女は後ろから指示を出すのではなく、先頭車両に乗って速度をコントロールするタイプなんだ」と マイケル・タッカー(ブラッドポップ)は語った。

先日公開されたレディー・ガガ待望の新曲『パーフェクト・イリュージョン』が誕生した瞬間、カリフォルニア州マリブのシャングリラ・スタジオでピアノの前に座った彼女の隣には、プロデューサーのマーク・ロンソン、そしてソングライティングを担当したテーム・インパラのケヴィン・パーカーの姿があった。「歌詞について、彼らは徹底的に議論していた」と、ジャスティン・ビーバーやグライムスとの仕事で知られるマイケル・”ブラッドポップ”・タッカーはそう話す。「昼頃にスタジオ入りして、毎日夜遅くまで作業してたよ。歌詞には数日おきに変更が加えられて、日を追う毎に磨かれていったんだ」。

『LG5』というニックネームが付けられた、今秋発表予定とされるレディー・ガガのタイトル未定の新作には多数のゲストが参加しているという。『ジャスト・ダンス』『ポーカー・フェイス』という、彼女をスターダムに押し上げた2曲に参加したレッドワンは、今作のために8曲を彼女と共作したと言われている。また、エルトン・ジョン、ナイル・ロジャース、ジョルジオ・モロダーといった大物アーティストたちのほか、過去にも彼女の作品をプロデュースしているDJ ホワイト・シャドウ、フェルナンド・ガリベイ等も参加しているという。

ガガの前作『アートポップ』は、発売初週のセールスが25万8千枚にとどまり、1週間で110万枚を売り上げた2011年の『ボーン・ディス・ウェイ』と比較すれば、商業的には失敗に終わったと言わざるを得ない。その後の彼女は、トニー・ベネットとデュエット・アルバムを制作したり、FXネットワークの人気シリーズ『アメリカン・ホラー・ストーリー』に出演するなど、ポップ・ミュージックの世界から距離を置こうとしているかに見えた。しかしローリングストーン誌の取材に応じたタッカーは、『パーフェクト・イリュージョン』は彼女の名前を世界中に知らしめたサウンドへの回帰だと話す。

ー今回の曲の制作において、彼女が掲げたミッションはどういうものだったのでしょうか?

サウンドの具体的なイメージについて、彼女から特に指示はなかったんだ。集まったメンバーはみんな自分のカラーをはっきりと持っていたからね。最近のラジオ向けの安っぽいポップスとは無縁のサウンドになったことは、個人的にもすごく誇りに思っているよ。最近のヒット曲はどこかで聴いたことがあるようなものばかりだからね。『パーフェクト・イリュージョン』を聴いてそう感じる人はいないと思う。過去10年でこんな曲はなかったはずさ。

ー曲のサウンドを言葉にするなら?

ソウルに根ざした古き良きソングライティング、ロック、そしてポップとダンスの融合だね。

ー「ソウルに根ざした」とのことですが、それは文字どおり、彼女が伝統的なソウル・ミュージックのソングライティングやプロダクションに影響されたということなのでしょうか?

そこまでストレートな意味合いではないね。僕がスタジオ入りした最初の週、僕はこう口にしたんだ。「この曲を言葉にするなら、カウボーイ・ポップだ」。カウボーイハットを被ったチープなポップスターなんかじゃなく、真の意味でのカウボーイさ。ラジオでこんな曲が流れたら、僕なら興奮するよ。耳に残るコーラスと踊りたくなるようなビートを持ったビッグなロック、僕はそういう曲にソウルを感じるんだ。それが伝統的な意味でのソウル・ミュージックとは違うとしてもね。


レディー・ガガの新曲『パーフェクト・イリュージョン』

Translation by Masaaki Yoshida

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