ニルヴァーナ『ネヴァーマインド』、知られざる10の真実

7. コバーンは『ネヴァーマインド』の最終バージョンを「恥」と感じていた。

バンドはアルバムのミキシングエンジニアに、スレイヤーとの仕事で知られるアンディ・ウォレスを起用した。彼とヴィグが共に明言しているように、バンドは当初ウォレスによる最終ミックスに心から満足していた。しかしアルバムのセールスが爆発的な伸びを見せ始めると、トーンを一転させたコバーンはアルバムのサウンドを「恥じている」とした上で、彼の伝記を執筆していたマイケル・アゼラッドにこう語っている。「クリーンで心地よくて、いかにも優等生的な作品さ。(中略)人によっては理想的なのかもしれないけど、俺は退屈でつまらないと感じている」

8. アルバムのジャケットのアイディアは、コバーンの水中出産に対する興味から生まれた。

出産と妊娠に対するコバーンの大きな関心は、彼の日記をはじめ様々なところで語られているほか、ニルヴァーナのラストアルバム『イン・ユーテロ』のジャケットにも現れている。グロールと共に水中出産についてのドキュメンタリーを観たというコバーンは、実際の水中出産の写真をジャケットに使うことを提案したが、生々し過ぎるとしてレコード会社に却下されてしまう。その代替案として採用されたのが、フォトグラファーを務めたカーク・ウェドルの友人の息子、スペンサー・エルデンが釣り針にかかった1ドル札を求めてプールを泳ぐあの写真だった。いくつかの販売店がエルデンの性器にモザイクを施そうとした際に、コバーンは徹底的に抵抗したという。

9. アルバムのバックカバーにはキッスの写真が隠されている。

『ネヴァーマインド』のバックカバーにはトラックリストのほか、コバーンが手がけた奇妙なコラージュの前に佇むおもちゃの猿の写真が使われている。コラージュには自身のコレクションの一部だという感染症にかかった性器の写真、ダンテのインフェルノに登場する絵のほか、キッスの写真が含まれているという。コバーンはこう語っている。「じっくり見れば、厚切りの牛肉の上にキッスが立ってることに気づくはずさ」

10. 『ネヴァーマインド』はマイケル・ジャクソンの『デンジャラス』からチャートのトップの座を奪った。

まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだったニルヴァーナは、1992年初頭にキング・オブ・ポップの『デンジャラス』をチャートのトップの座から引きずり降ろした。バンドはそのキャリアを通じて、80年代のポップスの悪趣味さ、そしてジャクソンに象徴されるポップスターダムを公然と批判し続けた。『ネヴァーマインド』のチャート1位奪取は、彼らが起こした革命が実を結んだ瞬間だった。

ニルヴァーナ『ネヴァーマインド』:あなたが知らなかった10の事実に関する映像はこちから

Translation by Masaaki Yoshida

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