ストーンズとボブ・ディラン、代表曲のオンパレードでデザート・トリップ初日を魅了

ジャガーは、まもなくリリースされるブルースのカヴァー曲を集めたアルバムについて語った。このアルバムは、新曲のレコーディング中にジミー・リードの『ライド・エム・ダウン(原題:Ride ’Em on Down)』をセッションしたことから生まれた偶然の産物だった。この曲は、ローリング・ストーンズが若かりし60年代の初めによく演奏していたものである。ロンドン時代、初期のバンドを形成したルーツはブルースにあった。そして今なお思いがけないところでそのルーツがひょっこり現れることがある。デザート・トリップの初日、ビートルズの『カム・トゥゲザー(原題:Come Together)』のブルージーなカヴァーを披露したのもそのひとつの例だった。

ステージが始まって30分ほど経ったところでジャガーはオーディエンスにメンバー全員を紹介し、その後マイクをリチャーズに譲った。リチャーズはくわえていたタバコを放り投げ、2曲披露した。まずは物悲しいサルーン・バラードの『スリッピング・アウェイ(原題:Slipping Away)』。そして2人のギターがぶつかり合う80年代初めの『リトルT&A(原題:Little T&A)』。ジャギーなギターに意図せぬフィードバック、そしてしゃがれたヴォーカル。完璧だ。



ジャガーがステージに戻り、同時代の名曲『ミス・ユー(原題:Miss You)』。かき鳴らされるギターにチャーリー・ワッツが4つ打ちのディスコ・ビートを刻む。ジャガーがギターを高々と持ち上げ、大勢のオーディエンスを前にダンスしてみせた。「盛り上げ方はわかっているな? “オー、イェイ!”と叫んでくれ」。ベーシストのダリル・ジョーンズが、オリジナル・メンバーのビル・ワイマンの代表的なフレーズから展開してベース・ソロを披露。バンドは彼の見せ場もしっかり用意している。

ステージ終了間際に花火が打ち上げられたりしたが、その他に特別な演出はほとんどなかった。彼らのステージにそんなものは必要ない。余計なものを削ぎ落としたストーンズは、今なお畏敬の念を抱かれるロックンロール・バンドである。

Translation by Smokva Tokyo

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