ストーンズとボブ・ディラン、代表曲のオンパレードでデザート・トリップ初日を魅了

フランク・シナトラの歌ったスタンダード曲をカヴァーした最新アルバムを中心にしたこの年の夏のディランのセットリストは、いつもと違っていた。毎年のコーチェラ・フェスティバル、そして今年はデザート・トリップの会場となっているインディオの広大なエンパイア・ポロ・フィールドを埋め尽くす、これほど多くのオーディエンスの前でシナトラは歌ったことはないだろう。ステージ前と最後列では状況がまったく異なるが、ディランはそのギャップの埋め方をよく心得ている。

タイトにプレーするバンドはディラン同様、ダークスーツにハットというエレガントに擦り切れた感じの出で立ちでステージに立った。最新アルバムの雰囲気に合わせ、見た目にも気を使っていた。

フェスティバルのトップバッターとしてステージに上ったディランは、デザート・トリップにその後登場する同時代のストーンズ、マッカートニー、ヤングなどすべてのアーティストに影響を残した。ここ数年のディランは、怒りに満ちた曲、円熟味を増した曲、失恋やそこから学んだ人生経験の曲など妥協のない作品で再び絶賛されている。

抑制と重圧の経験を歌ったパワフルな『ラヴ・シック(原題:Love Sick)』では、「おまえとなんか出会わなければよかった!」と激情をコントロールしたヴォーカルでもやもやした感情を切り裂いた。『やせっぽちのバラード(原題:Ballad of a Thin Man)』はそれまでにないほど険悪で軽蔑的な感じの曲で、彼の後ろで音を出す"大釜"のようなバンドと共にディランは、世代を超えた存在感を持つことを証明した。

ボブ・ディランのセットリスト

『雨の日の女(原題:Rainy Day Women #12&35)』
『くよくよするな(原題:Don’t Think Twice, It’s All Right)』
『追憶のハイウェイ(原題:Highway 61 Revisited)』
『もう終わりさベイビーブルー(原題:It’s All Over Now, Baby Blue)』
『ハイ ・ウォーター(フォー・チャーリー・パットン)(原題:High Water (for Charley Patton))』
『運命のひとひねり(原題:Simple Twist of Fate)』
『アーリー・ローマン・キングズ(原題:Early Roman Kings)』
『ラヴ・シック(原題:Love Sick)』
『ブルーにこんがらがって(原題:Tangled Up in Blue)』
『ロンサム・デイ・ブルース(原題:Lonesome Day Blues)』
『メイク・ユー・フィール・マイ・ラヴ(原題:Make You Feel My Love)』
『ペイ・イン・ブラッド(原題:Pay in Blood)』
『廃墟の街(原題:Desolation Row)』
『スーン・アフター・ミッドナイト(原題:Soon After Midnight)』
『やせっぽちのバラード(原題:Ballad of a Thin Man)』
『戦争の親玉(原題:Masters of War)』


ローリング・ストーンズのセットリスト

『スタート・ミー・アップ(原題:Start Me Up)』
『ユー・ガット・ミー・ロッキング(原題:You Got Me Rocking)』
『アウト・オブ・コントロール(原題:Out Of Control)』
『ライド・エム・ダウン(原題:Ride ’Em on Down)』(ジミー・リードのカバー)
『ミックスト・エモーションズ(原題:Mixed Emotions)』
『ワイルド・ホース(原題:Wild Horses)』
『イッツ・オンリー・ロックンロール(原題:It’s Only Rock ’n’ Roll (but I Like It))』
『カム・トゥゲザー(原題:Come Together)』
『ダイスをころがせ(原題:Tumbling Dice)』
『ホンキー・トンク・ウィメン(原題:Honky Tonk Women)』
『スリッピング・アウェイ(原題:Slipping Away)』
『リトルT&A(原題:Little T&A)』
『ミッドナイト・ランブラー(原題:Midnight Rambler)』
『ミス・ユー(原題:Miss You)』
『ギミー・シェルター(原題:Gimme Shelter)』
『悪魔を憐れむ歌(原題:Sympathy for the Devil)』
『ブラウン・シュガー(原題:Brown Sugar)』
『ジャンピン・ジャック・フラッシュ(原題:Jumpin’ Jack Flash)』

アンコール:

『無情の世界(原題:You Can’t Always Get What You Want)』
『サティスファクション(原題:(I Can’t Get No) Satisfaction)』

Translation by Smokva Tokyo

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