写真で見るロックの歴史:伝説の写真家、ハリー・ベンソンが語る歴史的瞬間の数々


Photograph by @HarryBenson
ボブ・ディラン & ブルース・スプリングスティーン
1985年 カリフォルニア州ロサンゼルス

U.S.A. for Africaプロジェクトでの写真。一晩中撮影が許されたのは僕だけで、『ウィー・アー・ザ・ワールド』の収録にも立ち会ったよ。クインシー・ジョーンズがレコーディングルームのドアに貼った紙にはこう書かれてた。「エゴの持ち込み禁止」それが功を奏したのか、皆リラックスした様子で会話を交わしてた。現場のムードはすごくフレンドリーだったよ、ある一幕を除いてはね。というのは、アフリカの曲を歌うことを拒んだウェイロン・ジェニングスが「俺の趣味じゃねえ」って言って、部屋を出て行ったきり戻ってこなかったんだ。「ウェイロンが出て行くところを撮ったか?」っていうウィリー・ネルソンに、僕はこう答えた。「あぁ、バッチリね!」


Photograph by @HarryBenson
ロン・ウッド
1987 テネシー州メンフィス

ロン・ウッドはとても感じのいい人だった。僕はエルヴィスとグレイスランドの特集記事の取材に同行していて、ビリー・ジョエル、クリスティー・ブリンクリー、ジョーン・ジェット、ロイ・オービソン、そしてエルヴィスの古い友人のカール・パーキンス等が来てた。もちろんリサ・マリー・プレスリーもね。みなグレイスランドに招待されたことを光栄に感じているようだった。アメリカのポップス史の出発点でもあるわけだからね。ミュージシャンなら誰もが一度は訪れてみたい場所だと思う。でも建物の中を見れば唖然とするだろうね、エルヴィスの頭がいかに空っぽだったかが一目瞭然だからさ。本なんて一冊もなくて、家中鏡だらけなんだ。正直ゾッとしたし、画になる場所なんて皆無だった。写真に写ってるのは彼が所有してたピンクのキャデラックだ。

Translation by Masaaki Yoshida

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