名盤『ロウ』でロックの歴史を塗り替えたデヴィッド・ボウイとブライアン・イーノ

『ロウ』のセッションは、『ピンナップス』の制作時にも使用されたフランスのChateau d’Hérouvilleで行われた『ザ・イディオット』のレコーディング時に開始している。その際にボウイは、1969年以来断続的に仕事を共にしていたトニー・ヴィスコンティに作品への参加を要請する。



ボウイとイーノから「実を結ぶことのない実験で丸1ヶ月を無駄にすることになるかもしれない」と警告された時、ヴィスコンティはこう返したという。「たとえ形にならずとも、デヴィッド・ボウイとブライアン・イーノと共に実験を重ねる1ヶ月が無駄であるはずがない」ヴィスコンティがセッションに持ち込んだ新兵器、それは取り込んだ音を加工しながらプレイバックすることができる、現在のサンプラーの原型と言えるイーブンタイドのハーモナイザーだった。同機は『ロウ』のミックスにおいて決定的な役割を果たし、特に加工されたその独特のドラムサウンドは、後のポストパンクおよびロックに多大な影響を及ぼすことになる。

Translation by Masaaki Yoshida

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