ー彼女はセックス・ピストルズのことをどう思っていたのでしょうか?
知らないな。イメージの良くない有名人を息子に持つ気分は複雑だっただろうね。俺の母親は感情を表に出さない人だった。天気の話には応じるけど、ちょっと深い話になると心をぴしゃりと閉ざしてしまうんだ。
ー窃盗癖についてですが、自伝ではそのことを懐かしむかのように言及しています。中でも最も強く印象に残っている事件は何でしょう?ジギー・スターダストの最後から2番目のショーで、その舞台裏から機材を盗み出した事件でしょうか?
それが一番よく知られた事件であることは確かだな。俺はボウイの大ファンだった。今となっちゃ笑えるんだけど、俺は自分のラジオ番組にトニー・ヴィスコンティとドラマーのウッディ・ウッドマンジーをゲストに招いて、彼のシンバルを盗んだことをその場で謝罪して、埋め合わせをしたいと申し出たんだ。彼は驚いた様子だったよ。何が欲しいか俺が尋ねると、彼は何もいらないと答えた。何かあるだろうと俺が食い下がると、彼が100ポンドよこせと言ってきたから、俺は彼に200ポンド渡した。嬉しそうだったよ。
ーデヴィッド・ボウイに夢中だったとのことですが、自分が尊敬するアーティストから盗みを働くことに罪悪感はなかったのでしょうか?
確かに変な話だよな。俺にとっちゃ、アイドルに一歩でも近づくための手段だったんだと思うよ。
ーあなたは後年にボウイと対面していますが、その件について触れましたか?
犯人が俺だってことは彼も知ってたと思う。でも俺が盗んだのは、実際には彼の所有物じゃなかったんだよ。
ーあなたは彼のマイクを盗み出しました。
いや、彼のものじゃなかったと思う。本当は彼の口紅がついたあの小さなマイクが欲しかったんだけどな。
ー1973年に盗み出したその機材を、あなたはピストルズのショーで使用しています。その数年後、あなたは会ったばかりの歯がボロボロの男性に、ジョニー・ロットンというあだ名をつけました。彼の歯の状態はどれくらい酷かったんでしょうか?
前歯の数本は緑色をしてて、腐ってるようにしか見えなかった。犬歯というわけでもなく、普通の形をしてた。単なるあだ名だったけど、すっかり定着しちまったな。
ーそのようですね。笑えるから気にしないとライドン本人が話していました。
当時にしちゃ俺たちはかなりユーモアのある方だったからな。何でもかんでも馬鹿にしまくってた。
ーあなたとジョニー・ロットンの複雑な関係は広く知られていますが、アメリカツアーの最中にバンドが空中分解したのは何が原因だったのでしょう?
何もかもさ。シドはただハイになりたかっただけで、ベースになんかまるで興味がなかった。ジョンは...というか俺たち全員が、それぞれまったく違う方向を向いちまってたんだよ。俺たちはバンドというよりも、統率できていない部隊のようだった。アメリカツアーは状況をさらに悪化させた。あんなにもデカい国で脚光を浴びることに慣れていなかったからな。2週間かそれくらいの期間だったと思うけど、とにかく奇妙な経験だった。