セックス・ピストルズのスティーヴ・ジョーンズが語る:「俺たちは破滅する運命だった」

ーマルコムとヴィヴィアン・ウエストウッドが確立したファッションが、今日のパンクにも見られることについてはどう感じていますか?

変な感じだよ。ついこないだはグッチがボンデージパンツのキャンペーンをやってたしな。いつになったら終わるんだって感じだけど、多分ポップカルチャーの一部としてこれからも残っていくんだろうな。今は何を着ても、世間の反感を買うなんてことはないしね。髪をピンクに染めたボンデージパンツ姿の男が歩いてても、誰も振り返ったりなんかしないだろ?

ー79年からずっとそのファッションにこだわり続けているエクスプロイテッドや、スパイクヘアをトレードマークにするグリーン・デイのようなバンドも見られます。

気に入ったからやめられないんじゃねぇの。はっきり言ってどうでもいいよ。イメージなんてくだらない。

ー80年代、メタルの台頭と並行してパンクは衰退していきましたが、メガデスやモトリー・クルー、ガンズ・アンド・ローゼズといったバンドはピストルズの曲をカヴァーしています。そのことについてどう思っていましたか?

アメリカに来たばかりの頃、俺自身が髪を伸ばしてそれに近いことをやってたからな。叫んだりするいかにもって感じのやつではなかったけど、個人的にはああいうバンドのエネルギッシュなところは好きだった。『アナーキー』のカヴァーや、アンスラックスのヴァージョンの『ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン』なんかを聞いた時は嬉しく思ったよ。ガンズ・アンド・ローゼズの『スパゲッティ・インシデント』に入ってた『ブラック・レザー』は、俺が書いた曲ってこともあってすごく気に入ってた。ジョーン・ジェットがいたザ・ランナウェイズのやつも好きだったよ。

ー80年代終盤、あなたはボブ・ディランの『ダウン・イン・ザ・グルーヴ』のセッションに参加しています。自分にはまだ早かったと感じたとあなたは綴っていますが、その理由は?

ああいうレコーディングを経験したことがなかったんだ。彼はただ流れに任せながら、その場で曲を生みだそうとしていた。そう分かっていたら、俺もただ周囲に合わせてギターを弾くだけじゃなく、積極的にアイディアを出すこともできたんだけどな。ボブはマジックが起きる瞬間を待っているように見えた。

ー彼はあなたとどういう曲を作ろうとしていたのでしょう?彼はピストルズのファンだった?

さぁね、俺にも分からないよ。ただ興味のあるプレイヤーに声をかけてみたってだけじゃないかな。何にせよ、素晴らしい経験だったよ。彼とはすごくウマが合った。どういうわけか、俺にはやたらフレンドリーだったんだ。

ーソロとして新作を出す可能性はありますか?

あぁ、ふざけたやつを作りたいね。もう長い間遠のいてるからな。作りかけのまま放置してる曲がたくさんあるから、それを仕上げられたらと思ってる。ジェフ・リンにプロデュースを頼もうと思ってるんだ。

ーこれまでの人生を振り返ってみて、何か後悔していることはありますか?

(最後のライブとなった1978年の)サンフランシスコでのライブ後にバンドを去ったことは後悔してるよ。結論を急ぎすぎたと感じてる。しばらくの間互いに距離を置いて、改めてじっくり話し合う機会を持てたらよかったのにって思う。でもそうはいかなかった。俺たちはそういう運命だったんだよ。もう一度集まって音を出すことができてたらって、今でも思うんだ。

Translation by Masaaki Yoshida

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