デヴィッド・ボウイが残した傑作映像25選

『地球に落ちてきた男』(1976年)


俳優としてのボウイの代表作。監督のニコラス・ローグは、テレビで放送された『気のふれた俳優』のドキュメンタリーを見て、アメリカに暮らす火星人というコンセプトを思いついたという。「あの作品のことで唯一覚えているのは、演技の必要性を感じていなかったということだ」ボウイは1993年にそう語っている。「当時はこの地球という場に、居心地の悪さを覚えていたからだ」

『Dinah!』出演時の『ステイ』(1976年)


シン・ホワイト・デュークが完全復活を遂げた瞬間。アメリカに住む主婦たちから絶大な人気を誇ったダイナ・ショアのトーク番組に出演したボウイは、ファンクの一流プレイヤーを集めた新たなバックバンドを従え、軽快にステップを踏みながら『ステイ』を披露している。トークでもそのチャーミングな魅力を発揮しているほか、彼が空手の指導を受ける一幕も登場する。当日同じくゲスト出演していた70年代のTVスター、ナンシー・ウォーカーとヘンリー・ウィンクラーの「私はフォンジーの大ファンなんだ」という発言に、ボウイは微笑ましい反応を示してみせる。

『Musikladen』出演時の『ヒーローズ』(1978年)


『ヒーローズ』のパフォーマンスはどれも甲乙つけ難いが、ブレーメンの小さなスタジオでオーディエンスを前に収録され、ドイツのテレビ番組『Musikladen』で放送されたこのバージョンは格別だ。自信に満ちた歌声、バックを固めるミュージシャンたち、そしてドラッグを断って取り戻した揺るぎない魂の力に支えられた40分にわたるパフォーマンスは、キャリアの絶頂を迎えていたベルリン期のボウイの魅力をあますことなく捉えている。ハイウエストの革製バギーパンタロンをこれほど自然に履きこなせるのはボウイくらいのものだろう。

『ボーイズ・キープ・スウィンギング』(1979年)



当時まだ萌芽期にあったミュージックビデオの世界において、デヴィッド・マレットが監督を務めたこのビデオで、ボウイは性転換というスキャンダラスなテーマを表現してみせた。女装したボウイがキャットウォークを颯爽と歩き、最後にはマレーネ・ディートリッヒに扮した彼が、しかめっ面のままカメラに投げキッスを送る。

Translation by Masaaki Yoshida

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