2017年のオスカーを占う:誰が獲るべきか、誰が獲るのか

<外国語映画賞>
『ヒトラーの忘れもの』
『幸せなひとりぼっち』
『セールスマン』
『Tanna』
『ありがとう、トニ・エルドマン』

この衝撃的な怠慢とも言える、不可解なオスカーの選考には言葉がない。まず、主演女優賞にイザベル・ユペールがノミネートされている、ポール・バーホーベン監督による挑発的なフランス映画『Elle(原題)』は? レイプを描いた刺激的なドラマはアカデミー会員の気分を害したのかもしれない。センチメンタルなスウェーデンの老人、オーヴェ(『幸せなひとりぼっち』)の物語の方がアカデミーとは波長が合うのだろう。この部門の選考には疑問が残る。結果を注意深く見守ろう。

本命:ありがとう、トニ・エルドマン
番狂わせ:セールスマン


『ありがとう、トニ・エルドマン』(C) Komplizen Film

<長編ドキュメンタリー賞>
『海は燃えている イタリア最南端の小さな島』
『I Am Not Your Negro』
『ぼくと魔法の言葉たち』
『O.J.: Made in America』
『13th 憲法修正第13条』

昨年の#OscarSoWhite(白人だらけのオスカー)に対する反応なのか、今年は3本の映画が#BlackLivesMatter(黒人の命だって大切だという運動)に関する作品だ。とりわけ、ラウル・ペック監督による力作『I Am Not Your Negro』は、辛辣な社会評論家ジェイムズ・ボールドウィンの言葉を引用し、かつてのアフリカ系アメリカ人公民権運動と扇情的な現代社会を結び付ける。しかしこの部門は、下記2作品の競り合いになるだろう。

本命:『O.J.: Made in America
番狂わせ:『13th 憲法修正第13条』


『海は燃えている イタリア最南端の小さな島』(C) 21Unoproductions_Stemalentertainement_LesFilmsdIci_ArteFranceCinema

<長編アニメーション賞>
『Kubo and the Two Strings』
『モアナと伝説の海』
『ズッキーニと呼ばれて』
『レッドタートル ある島の物語』
『ズートピア』

ここ数ヶ月、ミュージカル『ハミルトン』の作曲家リン・マニュエル・ミランダが関わる作品は、ほとんどが勝利の栄光に輝いてきた。しかし、ミランダが音楽を手がけた『モアナと伝説の海』が、オスカーを手にするのは難しいかもしれない。

本命:『ズートピア』
番狂わせ:『Kubo and the Two Strings』


『Kubo and the Two Strings』(C)2016 Two Strings, LLC.

Translation by Sahoko Yamazaki

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