ローリングストーン誌が選ぶ「2017年ベスト・ソング」50曲

19 ダイエット・シグ「Sixteen」

ニューヨークを拠点とするデュオが、思春期の悩みという永遠の物語にテーマをシフトした。「16歳のとき、本名で男の子とデートした/変な感じだった」とアレックス・ルシアーノが歌った途端に元気いっぱいなパンクが爆発する。いい加減子供じゃないのに感情の起伏が激しいティーンエージャー気質そのままの展開だ。アレックスが道具のように聞こえる他の曲に比べたら、彼女が歌うべき至極まともな曲といえる。

18 ベック「ディア・ライフ」

歌詞は「ルーザー」時代からベックのお気に入りのテーマ‟惰性と倦怠“だ。しかし、曲調は多幸感がほとばしり、螺旋階段を上がるように夢見心地の幻想曲へと昇華して行き、そこにブライアン・ウィルソンやビートルス的な色合いが混じり合う。10~20年前のベックなら、薄ら笑いを浮かべて肩をすくめながらこの曲をプレイしただろう。しかし今の彼は、ポップスの美しさを臆面もなく強調しながら平常心でプレイできる自信に満ちあふれている。

17位 リル・ウージー・ヴァート「XO Tour Llif3」

鬱陶しい2017年について語っているこの曲を上手く特徴づけているのは、「俺を限界まで追い込む/仲間はみんな死んじまった」という歌詞をど真ん中に据えて展開される、ドラッグに溺れて無感覚なエモラップでのサルカソン(訳註:不機嫌な状態を維持すること)だ。そして、リル・ウージーが無頓着に投げつけるこの曲を聴いていると、次のコーラス部分に辿り着く頃には一緒に歌っている自分に気付くはずだ。「それが人生だ!」と、かつてシナトラが言ったように。

16位 ジュリア・マイケルズ「Uh Huh」

マイケルズは絶対に無視できないソングライターの上位40人の一人だ。その証拠に、彼女の名前がクレジットされたセレーナ・ゴメスの楽曲(「Bad Liar」)は、このランキングの12位に入っている。急がずにいられないほどホットな恋愛を歌ったこの曲の主人公はジュリア・マイケルズで、まばゆい光を放っている。「こんなにパニックしているのがめちゃくちゃ気持ちいいなんて珍しいわ」とあえぐように歌う彼女。あなたのパニック同様、この曲もめちゃくちゃ気持ちいい。

15位 ドレイク「Passionfruit」


美味しいトロピカルフルーツとガールフレンドがそれとなくカレシを攻撃する様子を結び付けられるのは、世界で唯一人ドレイクだけだろう。でも、そんな彼だからこそ、みんなドレイクが大好きなのだ。ゆったりとした極上のR&B/ハウス・グルーヴなど、彼お得意のやり方をもってすれば、表面下で沸点へと上昇していく恨み節ですらセクシーに聞こえる。「Passionfruit」はドレイク史上最もクールで穏やかな別れの歌といえるかもしれない。

Translated by Miki Nakayama / Edit by Toshiya Oguma

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