AC/DCブライアン・ジョンソンが語るマルコム・ヤング

AC/DC 1976 (Photo by Martyn Goddard/Corbis via Getty Images)

「マルコムが今、皆の悲しみや哀悼の想いを知ったら、すごく感動してくれるはずだ。」ブライアン・ジョンソンが2年ぶりのインタビューで希代のギタリストについて語った。

「最低の週末だったよ」ブライアン・ジョンソンはフロリダにある彼の自宅で話を始めた。1980年からAC/DCのリードシンガーであるジョンソンは、共に35年間活動し、2017年11月18日に痴呆症による合併症によって享年64歳でこの世を去ってしまった、バンドの創始者の一人でもあるギタリスト・マルコム・ヤングついて語ってくれた。

現在70歳になったブライアンは、マルコムとスクールボーイのファッションに身を包みんだ、リードギターのアンガス・ヤングと、ハードロック史上に残るハンマーのように強烈な曲を作り続けてきた。聴力障害を理由にツアーから引退したブライアンは、9回に渡る内耳への手術の後遺症を今でも引きずっている。「俺も男だからあまり言いたくないんだけど、耳が痛むのは事実なんだ。これで終わりだって事さ。」と彼は語る。「でもマルコムの状況はもっとひどかったんだ。目に見える事もなく、触れる事もできない不治の病だったんだよ。」ジョンソンはマルコム・ヤングとの思い出をローリングストーン誌へ話してくれた。

マルコムはバンドのキーパーソンだったんだ。あのアンガスを捕まえて「ただクレイジーにギターを弾くんだ」って言った事もある。マルコムはみんなにバンドをやるって事がどういう事なのかを教えたんだ。彼は優しい人間でもあった。熱狂的なファンが俺達のライブを観にドイツまで来た時、セキュリティーが彼の入場を断った。そのファンがヒッチハイクをしてまでドイツまで来たのを知ったマルコムは、500ポンドをそのファンに渡して「会場に入れる事ができなくて申し訳ない。でもこのお金でせめて飛行機を使って帰ってくれないか」って言った事もあるんだ。

80年にAC/DCのオーディションを受けたのも忘れられない出来事だ。オーディションを受けたシンガーはバンドのメンバーが待つ部屋に入って2曲歌うっていう流れだった。俺が部屋に入ると、メンバーの中で一番背が小さな男が俺に向かって来て、”ニューキャッスル・ブラウン・エール”のビールを俺に勧めてくるんだ。ニューキャッスル出身の俺が驚いていると「ほら、これ飲んだら地元にいる時みたいにリラックスできるだろ。」ってさ。それがマルコムだったんだ。

Translated by Hiroshi Takakura

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