『マジカル・ミステリー・ツアー』:ビートルズのサイケなアルバムに秘められたストーリー

(Photo by Cummings Archives/Redferns)

映画『マジカル・ミステリー・ツアー』の興行は振るわなかったものの、サントラ盤には伝説的なシングル曲とインスピレーションによる実験的要素が詰め込まれているその秘められたストーリーとは?

アルバム『マジカル・ミステリー・ツアー』がリリースされたのは1967年11月。その年はザ・ビートルズにとって色々ありながらも、ファンタスティックに富んだ時期でもあった。この時期に作られた曲は、『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』や『イエロー・サブマリン』にも収録されることとなる。コンサート活動を休止したビートルズには、スタジオで時間をかけて曲を検討するだけの余裕があった。デビュー時はアルバムを1日でレコーディングしなければならない状況だったが、この頃は数週間かけて曲をひとつずついじくり回していた。

『サージェント・ペパーズ』が、ビートルズの新たなユートピアニズム、つまりメンバーをエンターテイナーや道化師にならしめる鮮やかな知覚体験カルチャーの青写真だとすれば、『マジカル・ミステリー・ツアー』のプロジェクトは文字通り、そのアイディアを世界へ浸透させるための試みだった。ポール・マッカートニーのコンセプトは、ビートルズが友人たちと一緒にイギリス郊外をドライブして回る様子を撮影し、1本の映画として編集するというもので、制作過程もすべて自分たちで仕切るつもりだった。しかし、60年代に盛んに行われたユートピアニズムを実践する試み同様、この映画も失敗に終わった。ビートルズは、映画製作者になれなかったのだ。

「通常は、目的や目標を持って事に当たらなければいけないが、我々は目指す拠り所のないまま、映画を作ろうとしていた」とマッカートニーは、封切り翌日に認めた。一方で『マジカル・ミステリー・ツアー』のサウンドトラックは、本来は映画に期待されていた成果を上げられた。1967年のシングル曲と、アルバムのために作られたその他の曲を雑多に詰め込んだ福袋のような作品だったにもかかわらず、前作『サージェント・ペパーズ』のよくできた続編となった。サイケデリックなビートルズが自らの見識を広げ、音楽の全景をがらりと変えてしまうようなポテンシャルを持つユニークなポップソングを作るようになった、という印象を世に与えた。

Translation by Smokva Tokyo

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