『ウォーキング・デッド』撮影中に死亡した俳優の母親、AMCを不法死亡で提訴

Gene Page/AMC

『ウォーキング・デッド』に関わる不法死訴訟では、AMCの安全管理に対する怠慢がスタントマンのジョン・バーネッカーの死亡原因だとしている。

俳優でスタントマンの故ジョン・バーネッカーの母親が、息子のために「正義を求める」として、AMCに対する不法死訴訟を起こした。AP通信が伝えたところによると、訴訟では「AMCが撮影セットの安全管理にかかる予算をカットした」と訴えているという。

訴訟では、「これまでのシーズン同様、『ウォーキング・デッド』のシーズン8もまた、“制作予算は低く、利益は高く”という目標を重視していた」と訴えている。「この目標の一環として、被告であるAMCはストールワート・フィルムズに対し、不当に低い予算での製作を強要した。予算にはスタントに関する予算も含まれる。結果として、『ウォーキング・デッド』の製作において、スタントの撮影を含む安全管理を繰り返し怠ることとなった」

訴訟では特に、AMCの従業員であるラリー・テン(当該エピソードのディレクター)、トム・ルーズ(エグゼクティブ・プロデューサー兼プロダクション・マネージャー)、ジェフリー・ジャニュアリー(第1アシスタント・ディレクター)、モンティ・シモンズ(当該エピソードのスタント・コーディネーター)、マシュー・グッドウィン(番組のキーである第2アシスタント・ディレクター)、オースティン・アメリオ(バーネッカー最後のシーンの共演者)の名前を挙げている。

また訴訟によると、アメリオ演じる役はバーネッカーを“銃撃し”、22フィートの足場の端から鉄柵を越えて彼を“突き落とす”シーンで、2017年7月に撮影された。バーネッカーは下に用意されたクッションの上に落ちるはずだった。「アメリオは事前に、シーンの撮影中はジョンの体へ実際に触れないよう指導されていた。しかし実際の撮影時、何らかの手違いがあった」

「アメリオは、ジョンを押す演技をしながらも実際にジョンの体に触れた。さらにジョンの服の背中を引っ張るか掴むかしたため、ジョンは鉄柵の上に引っかかって勢いが変化または抑制された。その結果、彼の落下する軌道がバルコニーの真下へ向き、クッションがなく保護されていない地面へと落ちてしまった」と訴えている。

バーネッカーは鈍的外傷とひどい損傷を負った。アトランタ市内の病院へ搬送されたが、7月12日に死亡宣告を受け、同16日に生命維持装置を取り外された。33歳だった。

撮影前に必要なすべての安全対策を確実に行う責任を果たさなかったとして、訴状には他の個人も含まれている。さらにバーネッカーの母スーザンは、企業としてのAMCも、「ジョンを保護し、落下の軌道を修正するためにクッション周辺に人員を配置するという業界標準を守らず」、それに加え「予想可能な危険に備え、適切な危険回避の対策を取るための、安全管理の専門家を置かなかった」と訴えている。

訴訟を受けてAMCは、「ジョン・バーネッカー氏の家族、ご友人、並びに今回の悲劇的な事故により心を痛めたすべての皆さまにお悔やみ申し上げます。我々は、撮影セットにおける被雇用者の安全には特に気を配り、業界標準以上の安全対策を取っています。ご家族に敬意を表し、本訴訟に関するこれ以上のコメントはいたしません」と述べている。



Translation by Smokva Tokyo

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