オジー・オズボーン、半世紀に渡るツアー人生を振り返る

ー今回のツアー準備はどんなふうに進めていますか?

そうだな、今キミに話しながら準備しているよ、だろ(笑)? 俺はみんなに間違った情報を与えたくない。このツアーは引退ツアーじゃないよ。「もうツアーはしないよ」ツアーだ。つまり、ツアー三昧で残りの人生を無駄にしたくないってこと。俺は既婚者なのに家族と過ごす時間が本当に少ない。俺が外出すると妻が家に戻ってくるみたいに、すれ違いばかり。そんな状態がもう嫌なんだ。それにツアー中は外出しない。ツアー中は神経質になるんだよ。だって観光で行っているわけじゃなくて、仕事をしに行っているわけだから。ツアーの一番の楽しみはライブだけど、ツアー中は次のお楽しみまで2〜3日待たないとだめなんだよ。

ー歩みを少し遅くして、人生を楽しみたいと思っているようですね。

そう、まさしくその通り。今でもライブができること、今でもファンがいてくれること、俺は本当に恵まれているよ。それに、自分の仕事に今でも情熱を持てることも幸せなことだ。ポール・マッカートニーは今でもツアーを続けている。ストーンズもそうだ。それは彼らの選択さ。俺は旅ばかりの人生が嫌になったんだ。

ーツアーが終わった後の計画はありますか?

アルバムを1枚作りたいね。時々ライブもやるつもりでいる。確実なのはツアーはもうしないってことだけだよ。

ーさっき、もう8〜9曲のアイデアがあると言っていましたが、どの程度まで出来上がっているのですか?

まだアイデアをまとめている段階だ。この家にいると曲作りの時間をひねり出すのが大変なんだよ。

ーツアーに出てもそれは同じではないですか?

ツアー中に休日が1日あると、その日は声を休める日にしている。だから歌を歌ったり、曲を作ったりするのはしちゃいけないとは思うけど、過去にやったことはあるよ。

ー40年以上もライブをやってくれば、コンサート中に驚くような光景を見たことがあると思います。最も記憶に残っている光景はどんなものですか?

ロックンロールを聞いているのに、一切身体を動かさない一群が観客の中にいたことがあった。俺の場合、観客の中に動かない人や、何もしないで突っ立っている人を見つけると、そいつに向かってパフォーマンスするし、時にはバケツの水をぶっかけることもある。その夜、後になって知ったのが、その微動だにしなかった一群は全員耳が聞こえないってこと。それを聞いて、俺は自分の馬鹿さ加減に気付いた。俺は彼らにバケツの水をぶっかけて水攻めしたんだから(笑)。彼らはただそこに立っていただけ。でもさ、耳が聞こえないのにロック・コンサートに来たがるってどうしてだと思う? 最初、俺には理解できなかった。でも、彼らは聞こえなくてもリズムを感じると教えてもらったんだ。これは興味深いと思ったね。

ーもっとクレージーなこともあったと思いますが。

確か、どのコンサートでも必ず一人は逮捕されると思ったな。でも、俺はステージに上がって、全身全霊でパフォーマンスして、出来る限り最高の夜をファンに贈るだけだよ。


Translated by Miki Nakayama

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