パーラメント/ファンカデリックを率いるジョージ・クリントンが、LSDの害毒やドゥーワップの死、偉大なミュージシャンの見つけ方を語った。
パーラメント/ファンカデリックの創設者、ジョージ・クリントンは「歩くアメリカ音楽博物館」ともいうべき人物である。彼の経歴は50年代、ドゥーワップで始まった(パーラメントも元来はニュージャージー州ニューアークのドゥーワップコーラスのグループだったのだ)。そしてケンドリック・ラマーが活躍する現代までプレイし続け、なおも進もうとしている。
2014年には印象的で忘れがたい自伝『ファンクはつらいよ ジョージ・クリントン自伝』を刊行した。もっとも彼自身は続編を書くには十分なくらい、今も精力的に活動を続けている。その関心はもっぱら来たるべきドキュメンタリーやニューアルバムに向かっている。ツアー準備の最中にもかかわらず、彼は快くインタビューに応じてくれた。
―史上最もファンクな人物とは誰だと思われますか?
ジョージ ファンクというなら、ザ・ステイプル・シンガーズ、そう、ローバック“ポップス”ステイプルズだな。それにレイ・チャールズ、なんたって「エリナー・リグビー」さえファンクに仕上げたんだ。このやり方をレイはいろんなものに当てはめていった。これこそ、ファンクの原型だよ。それから(モータウンのセッション・ベーシストの)ジェームス・ジェマーソンだな。立派なミュージシャンだ。
―現在、最もファンクを感じない人物は?
ジョージ (笑)たぶんトランプだね。トランプほどファンクがないのは無理だよ。彼も嫌だろうけどね。
―あなたの、 “free your mind and your ass will follow”(精神を脱し、肉体に従うべし)という文句はどこから来たものなんですか?
ジョージ あれは意識の流れから口に出たものだと思うんだ。分かるかな? でも年を重ねるにつれてこうも思うようになった。つまり「行くんだ。そしてフォースを使うのだ、ルーク」と同じことだとね。もし頭がまともじゃなかったら、何かを修理しようとしたって決してうまく行きゃしない。そもそも自分の頭を修理しなきゃいけないんだから。
―アルバム『Maggot Brain」と同じことですね。
ジョージ そうさ、同じことさ。もしおかしくなっていたら、考えること全部がおかしくなってしまうんだ。
―若き日の自分に助言するとしたらどんなことをおっしゃりますか?
ジョージ LSDの代わりになるようなものを探そうとするな、かな。もし最初ほどいい思いをすることは二度とないと知っていたら、もっと前にやめられていただろうに。
―それではLSDについて後悔はないんですか?
ジョージ ウッドストックでLSDの時代は終わったんだよ。1錠5ドルなんて商業的になってしまった。それからこの心を操る代物は危険になっていった。ハイになっているときには手も足も出ないままコントロールされてしまうからね。