ボウイが結成した短命バンド「ティン・マシーン」、ピクシーズのカバーを振り返る

1991年のツアーでも、ボウイはセットリストの曲をティン・マシーンのオリジナル曲とカバー曲に限定した。前年に「愛しき反抗」(原題:Rebel Rebel)を109回も歌ったのだからファンは満足したはずだと思う人がいるかもしれない。しかし、現実はティン・マシーンのライブに落胆した人が多数いたのである。論より証拠で、1991年11月2日にイギリスのウルヴァーハンプトンで行われたライブで、彼らがピクシーズの「ディベイサー」をカバーした映像を見て欲しい。ボウイは初期の頃からピクシーズの大ファンで、2002年のアルバム『ヒーザン』ではピクシーズの「カクタス」をカバーしている。「1980年代、ソニック・ユース以外で最も説得力のある音楽はピクシーズだった。彼らの中には猟奇的なビートルズみたいな要素があると、いつも思っていた」と、当時デヴィッド・ボウイが言っていた。

ボウイは“もうヒット曲はやらない”という誓約を1990年代の大部分で守り続けたが、1999年のアルバム『アワーズ』のプロモーション・ライブのセットリストに過去の曲が密かに紛れ込み、2003〜2004年のリアリティ・ツアーでは完全復活を遂げていた。ただし、その時点では誰も知らなかったのだが、ボウイはこのツアーを最後にいかなるツアーも行っていない。そのため、長きに渡った彼のキャリアのそれぞれの時期の代表曲が網羅されたセットリストとなっていたのである。しかし、唯一の例外がティン・マシーンで、彼らの曲は1曲たりとも演奏されなかった。

Translated by Miki Nakayama

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE