エレカシ、ミスチル、スピッツの「奇跡の共演」で見た三者三様の生き様

3月18日にさいたまスーパーアリーナで開催された『30th ANNIVERSARY TOUR "THE FIGHTING MAN" SPECIAL ド・ド・ドーンと集結!!〜夢の競演〜』(Photo by Katsumi Omori)

エレファントカシマシ、デビュー30周年ツアーファイナルの締め括りとして3月18日にさいたまスーパーアリーナで開催された『30th ANNIVERSARY TOUR "THE FIGHTING MAN" SPECIAL ド・ド・ドーンと集結!!〜夢の競演〜』。スピッツ、ミスチル、そしてエレカシという3バンドが共演した夢のようなライブをレポートする。

エレファントカシマシ(以下、エレカシ)、Spitz(以下、スピッツ)、 Mr.Children(以下、ミスチル)の3バンドが共演するという夢のようなライブだ。言うまでもないが、エレカシ、スピッツ、ミスチルは国民的なヒット曲を何曲も生み出し、圧倒的な人気と独自の音楽性を兼ね備え、長い間一線で活躍しきた稀有なバンドだ。そんな3バンドが揃うのは、奇跡を通り越し事件といっても過言ではないだろう。多くの人がこの事件を目撃しようとチケットは即完だった。

17時5分、会場が暗転。ファンファーレのドリーミングなSEが鳴ると同時に会場が大きな歓声に包まれた。SEだけでファンには登場するバンドがわかる。スピッツだ。

1曲目は「春の歌」。東京は前日に開花宣言が出たばかり。この曲はスピッツの30枚目のシングルで、エレカシ30周年を祝うこの日の1曲目にピッタリの選曲だ。早くもサビの部分では大合唱が起こる。

4曲目の「初恋クレイジー」の演奏が終わった時点で最初のMC。「どうもこんばんは、スピッツです」と優しいテンションで話すフロントマンの草野マサムネ。挨拶に続いて、エレカシへの想いを手短に語った。「エレファントカシマシは28年くらい前からずっと聴いています。昔は正座して聴いてました。最近は立って聴いてます」。


Photo by 大森克己

MCに続いて「チェリー」「愛のことば」「スターゲイザー」とヒット曲を連奏し会場を盛り上げ2度目のMCへ。「エレファントカシマシの4枚のシングル『浮雲男』をやります」と言うと、89年のシングル曲「浮雲男」のカバーを披露。ちなみに、89年にスピッツは新宿ロフトで初のワンマンを成功させている。また、先のMCからすると、丁度草野がエレカシを聴き始めた頃だ。そして、飄々とした草野が“ぷかりぷかり浮雲男”と呑気なトーンで歌うといい意味で肩の力が抜けていく。草野にはこうした揺蕩う感じの曲がよく似合う。演奏が終わると会場から大きな拍手が巻き起こった。

続いては「みなと」が演奏され、メンバー紹介をしてMCへ。「同世代3バンドだとアマチュアの頃、都内のライブハウスでやっていた頃を思い出して緊張しますね。久しぶりのトップバッターだし」と草野。ベースの田村が「楽屋のお菓子が、普段は洋菓子が多いんですけど、今日は餡子ものが多いです」と笑わせる。草野も「俺ら50代ばかりだから仕方ないよね(笑)。でも、宮本さんがどこかのインタビューで『40代は若者の老齢期だけど、50代は老人の青春』っていたから、俺ら青春を生きてます。ミスチル、スピッツ、エレカシ、長く活動しているご長寿バンドを3つも目撃したみなさんも長生きしてくだい」と言うと、「涙がキラリ★」から怒涛の4連奏でこの日のライヴを締めた。

全13曲で演奏時間1時間。1曲あたり4分の計算だ。ライヴだと長尺の演奏をかまして、バンドの個性を打ち出すパターンが多いが、4分というサラリとした長さの曲だけの構成で、バンドの個性が打ち出せるのはスピッツの他ないんだと思う。どの曲もポップだが、草野が書く独時の歌詞も含め、他のバンドには出せない世界観がある。ライブもテンションが高いわけではないが、終演後、感動で動けないほど打ちのめされた。スピッツの秘密をさらに深掘りしたくなる60分だった。

<セットリスト>
スピッツ
「春の歌」
「恋する凡人」
「8823」
「初恋クレイジー」
「チェリー」
「愛のことば」
「スターゲイザー」
「浮雲男」
「みなと」
「涙がキラリ☆」
「さわって・変わって」
「スパイダー」
「トンガリ’95」

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