米国銃規制大規模デモ、写真で綴るそれぞれの物語

抗議デモに参加する3人の高校生(photo by Jessica Lehrman for RollingStone.com)

銃規制法の厳罰化を支持する何万もの人々が全米各地でデモ行進を行った。メッセージを掲げた人々のスナップ写真と共に彼らの声を綴る。

3月24日、米首都ワシントンでデモ行進をする群衆が掲げる多数のプラカードの1枚に「いつになったら“もうたくさんだ”が現実になるか?」と書かれていた。2月にマージョリー・ストーンマン高校で起きた銃乱射事件がきっかけとなって生まれたこのイベントに集まった群衆の数は20万人を超えた。胸が張り裂けるようなスピーチと、アリアナ・グランデ、ジェニファー・ハドソン、リン=マニュエル・ミランダなどのライブ・パフォーマンスが披露された集会が行われたこの日は、さながら市民権運動のような熱気を帯び、その訴えはテレビを通じて全米に拡散されたのである。一方で、親、学生、教師、子供、銃乱射事件の生存者、犠牲者の遺族などがスクラムを組んで行った熱心なデモ行進は、憤慨、傷心、激怒などの個人の思いやメッセージを表明する場所となった。

早朝、ワシントン中心地の地下鉄駅の出口から学生たちが洪水のように出てきた。「この対話に私たちの世代が初めて参加するわ」と、クリスタル・ペロッティがローリングストーン誌に言った。彼女はニューヨークで教鞭を取る若い教師で、サンディフック高校の卒業生だ。そして「私たちは(サンディフック小学校銃乱射事件のあと)かなりしっかりとした組織になったと思うの」と付け加えた。彼女は活動団体サンディフック・プロミス(※コネチカット州のサンディフック小学校銃乱射事件の遺族が運営するNPO団体)と共にやってきていた。この一角の端にチーム・オーガナイザーが立ち、マーチングバンドのリーダーのように横断歩道で行進者たちに手を振って誘導していた。ペロッティは「団体となることが大事なの。もちろん、ポリシーが一晩で変わらないことは知っているけど」と続けた。

ナショナル・パブリック・ラジオが実施した世論調査によると、ミレニアム世代の銃に対する考えは、彼らの両親世代と同様に多種多様だという。ペンシルベニア大通りに活動家たちが大挙する中、高校生たちの長い列がフォード劇場(ここでリンカーンが銃殺された)の外に連なっていた。彼らは校外学習旅行としてオハイオ州ニューロン郡から来た。この列には真っ赤な文字で「Make America Great Again(偉大なアメリカよ、再び)」と書かれた帽子が2〜3つ見える。その一つをかぶった高校1年のマックスは仲間の男子生徒に囲まれていた。デモ行進を支持するかという問いに、彼は「絶対にしない」と言ったのである。「デモ行進はどうぞやってくれって感じだけど、大して効果はないよ」と。

ヒューロン郡では誰でも銃を持っているとマックスのグループが説明した。「それこそ、爺ちゃんのベッドの下とかにあるぜ!」と、ある学生が叫んで、一人の少年を指さして、こう言った。「こいつがイースター・エッグを探していたら、爺ちゃんのベッドの下にAR-15を見つけたんだよ」と。言われた少年はきまり悪そうに身体を動かして、「実はAK-47だった」とモゴモゴと言ってから作り笑いをした。最後に、もう一人の1年生が、自分の側を通り過ぎるデモ行進中の人々を凝視しながら、大きな声で「家を守るためだけに、あんなにドでかいライフルが本当に必要だと思うか?」と質問したあとにこう続けた。「俺は銃を持つことを支持するよ。でも大きな兵器は必要ないと思う」と。

率直に意見を述べることが成功の尺度だとするなら、マーチ・フォー・アワ・ライヴスは本来のミッションを果たしたといえる。しかし、国がそのメッセージを聞き入れるまでは道のりが長く、それに沿った法整備までに到達するのは非常に困難だろう。「でも自分の周囲を見てみて」とボランティアと書かれたユニフォームを来た女性が言った。「何千というティーンエージャーがデモ行進をしているのよ、それも土曜日に」と。彼女の言葉は「連中を辞職させろ」というシュプレヒコールにあっという間に飲み込まれ、彼女の顔は「私たちは行進する。お前らは聞け」というプラカードの裏に消えて行った。土曜日のこの一瞬、もしかしたら国がこの訴えを聞き届けるかもしれないと感じる雰囲気が漂っていた。

ローリングストーン誌はデモ行進で見た人々、プラカード、メッセージをまとめてみた。
以下の写真は、すべてJessica Lehrmanによるもの。


過去を忘れない

サンディフック小学校襲撃事件のように過去に起きた銃乱射事件がプラカードやシュプレヒコールとなり、効果的なリマインダーとして使われていた。「人が死ぬのを見るのはもううんざり」と高校2年生のマシュー・プライスが言った。彼はウエスト・ヴァージニア州から家族と共にきていて、こう続けた「でも僕が住んでいる町では僕のような意見は少数派なんだ」と。

Translated by Miki Nakayama

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