プリンスの遺族、死因を巡り病院とドラッグストアを訴える

プリンスの遺族は、死因を巡ってイリノイ州の病院と、ドラッグストア・チェーンのウォルグリーンズを訴えた。(Photo by Kevork Djansezian/Getty Images)

プリンスの遺族は、彼の死の1週間前に処置を施したイリノイ州の病院と、ドラッグストア・チェーンのウォルグリーンズを訴えた。裁判では「プリンスに何が起きたのか」を明らかにし、「鎮痛剤の過剰摂取問題にスポットライトを浴びせることで、命を救うための努力に貢献し、もう誰も死なないで欲しい」と弁護士は語っている。

「プリンスの死に関して事件的要素はない」との見解を捜査当局は示したが、遺族側は、彼が亡くなる1週間前に処置を施したイリノイ州の病院と、同時にドラッグストア・チェーンのウォルグリーンズを相手取り、死因を巡る裁判を起こした。

訴えられたイリノイ州モリーンのトリニティ・メディカル・センターは、2016年4月、薬物の過剰摂取により体調が悪化したため自家用ジェットを緊急着陸した後に搬送されたプリンスに、一時的に治療を施した医療施設である。訴状によれば、同病院はプリンスの過剰摂取に対する適切な診断と処置を行わず、それが直接の死因となった、としている。ミネソタ・スター・トリビューンが報じた。

訴状ではまた、トリニティ・メディカル・センターの医師ニコール・マンチャと女性職員1人が、プリンスが過剰摂取した薬の種類を誤認したと主張している。錠剤には“Watson 853”とヒドロコドンを示す刻印がされていたが、捜査当局の後の調べによるとそれは偽造薬で、フェンタニルの成分が含まれていたことが判明している。

2018年4月19日、カーバー郡の代理人マーク・メッツは、2年に渡る捜査の結果、「死因は、危険性の高いオピオイドであるフェンタニルの成分を含む偽バイコジンの摂取による」とした。しかし捜査当局の調べでは、プリンスによる偽造薬の入手方法や、同薬物が彼の死因となったかどうかについては明らかになっていない。「プリンスの死に関して事件的な要素を示す十分な証拠が我々にはない」と代理人は述べた。

さらに訴状では、もしもトリニティ・メディカル・センターがプリンスの摂取した薬物に対するより広範囲な試験を実施していれば、偽造薬であることを見抜けたはずだ、としている。捜査当局やプリンスに近い人間は、プリンス自身は自分が強力な合成オピオイドのフェンタニルを摂取していることを知らなかった、と確信している。

トリニティ・メディカル・センターの代理人がニューヨーク・タイムズ紙に語ったところによると、病院側は係争中の問題についてのコメントはしないという。ドラッグストア・チェーンのウォルグリーンズも現時点で、訴訟に関するコメントを出していない。

プリンスの遺族はまた、ミネソタ州にあるウォルグリーンズの2つの拠点も、「医療目的以外で麻薬性の処方薬を調合した」として訴えている。ニューヨーク・タイムズ紙が報じた。

「時が来れば、もっと多くを語れるだろう」と、プリンスの遺族の代理人として訴えを起こした弁護士ジョン・ゲーツは声明の中で述べている。「訴えの内容を含み、今はクライアントの利益を優先する。プリンスの身に起きた事は、アメリカ全土の家族にも起こり得る。プリンスの遺族はこの裁判を通じて、プリンスに起きたことを明らかにしたいと思っている。また同時に、鎮痛剤の過剰摂取にもスポットライトを浴びせることで、命を救うための努力に貢献し、もう誰も死なないで欲しいと願っている」

Translated by Smokva Tokyo

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