2018年、ローリングストーン誌が選んだK-POPアーティスト10組

2. DAY6 

DAY6は韓国で最大クラスのK-POPレコード・レーベルと契約しているが、その音楽性は平均的なK-POPバンドとは異なっている。彼らが奏でるのはロックンロール風味のポップスなのだ。メンバーは、ギターのソンジン(Vo, Gt)とジェイ(Gt, Vo, Rap)、ベースのヨンケイ(Ba, Vo, Rap)、ドラムのドウン、キーボードとシンセのウォンピル(Key, Synth, Vo)。2017年、バンドはEvery Day6という1年間のプロジェクト、つまり毎月6日にシングル曲とB面をリリースするという企画を敢行した。このシリーズの最後のシングル「I Like You」は、クラシック・ロック・バラッドのような始まりからメロドラマ的な愛の告白へと、熱量を上げながら膨れ上がって炸裂する。バンドの良さを壊してしまう不安と長い間闘った後に、DAY6はこのシングル曲でやっと自分たちらしさを出すことができ、屋上でカタルシス満載のシャウトを披露している(MVでは文字通り、彼らが屋上で演奏している)。

3. Hyolyn(ヒョリン:元Sistar)

大人気ガールズグループSistarのメンバーだったヒョリンは今回紹介するアーティストの中で最も経験値の高いヴォーカリストだが、ソロとしてはスタートしたばかりである。2017年にグループが円満解散し、ソロとして再出発した彼女は、これからが本領発揮だろう。音域の広さとSistar時代の健康的なセクシーさを強調した楽曲で知られているヒョリンだが、現在、個人レーベルbride(表記はbrídʒ)からのリリースを準備中だ。ソロになって最初のリリースは「To Do List」で、元カレを忘れようとわざと忙しくする女性の気持ちを歌いつつ、彼女の色とりどりの歌声を存分に披露している。この曲の次にリリースされたセクシーな曲「Dally」では、久しぶりに現れて、よりを戻そうとする元カレを冷たくあしらう女性になりきって歌っている。ヒョリンは以前と変わらず明るく輝いているが、パワフルで魅惑的な彼女らしいコリオグラフィーこそが彼女の真骨頂だ。

4. Jeon Soyeon

彼女もオーディション番組『プロデュース 101』出身で、気の強いラッパーJeon Soyeonとして名を馳せた。『プロデュース101』とラップ・サバイバル番組『Unpretty Rapstar』出演以後、しばらく表舞台から消えていた彼女が2017年に出したデビュー曲「Jelly」は、ファンにとってうれしいサプライズとなった。次の「Idle Song」では、自身の内側にあった女優気質を発揮してストーリーテラーに徹している。これは馴れ合いになった恋愛関係に刺激を与えて、付き合いを続けるか試そうと考えている女の子の歌だが、MVで演じる気だるそうな女の子には似つかわしくないシャープな、いつも通りのフローを披露している。Jeon Soyeonはソロとしても十分に活躍できる実力の持ち主ではあるが、もうすぐ所属するキューブ・エンタテインメントの新人ガールズグループ(G)-Idleに加入して活動を始めるようだ。

5. Jo Woochan、Park Hyunjin、Achillo

彼らは小学校を卒業したばかりの少年たちだが、13歳のJo Woochan、Park Hyunjin、Achilloの3人は彼らの2倍の年齢のラッパーよりも大胆なラッパー集団だ。最新シングル「OGZ」はヒップホップ用語のOG(original gangsta)と、韓国語の“見事な”や“才能がある”という意味の「オジダ」をマッシュアップした造語で、自分たちがどれだけ並外れているかを大胆にラップしている。Jo Woochanは『Show Me the Money』というTVのラップバトル番組に出演し、自分よりも年上のラッパーや、番組のバトルで勝ち続けているラッパーを見事に負かした経歴を持つ。Park Hyunjinは、アメリカのオーディション番組『アメリカン・アイドル』の韓国版とも言えるテレビ番組『K-pop Star』の最終シーズンに出演した。これはエンターテインメント会社3社が次世代のアーティストを発掘する番組だった。ただ、Achilloだけは他の2人とは違って、リアリティ番組の出演経験は一切ないにもかかわらず、彼のラップ・パートでは一番バイト(他人のラップや詞を無断で真似ること)が多い。彼のラップは非常に攻撃的で、ソウルの若者街である弘大の苦悩するラッパーたちを「息を吸ったり吐いたりしているだけで、ラップしていない」と辛辣に非難している。この3人の少年ラッパーの見た目は非常に愛らしいが、彼らの書くラップは悪意に満ち、10代の少年にしか出せない虚勢でそれを吐き出している。

Translated by Miki Nakayama

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