ローリングストーン誌が選ぶ「2017年ワースト・ムービー」

4位 『Song to Song(原題)』

これを認めるのは断腸の思いだが、アート・フィルムというのは、時としてハリウッドの型通りの駄作に負けないほど低品質にもなり得る。大御所映画制作者テレンス・マリックがセフル・パロディを実験した今作は、まさしくそのケースと言える。舞台はテキサス州オースティンの音楽シーンで、2組のカップルが登場する。ライアン・ゴズリングとルーニー・マーラは苦悩するソングライターを演じている。マイケル・ファスベンダーは音楽業界の重要人物で肉食系。ソングライター両者と世間知らずのウェイトレス(ナタリー・ポートマン)を食いものにしようと誘惑する。そして、ゾンビのような俳優陣が元気なく動き回り、ナレーションで陳腐な思いを囁き続け、ついに観客は「誰か、やめさせてくれ!」と叫びたくなるのだ。そんな映画が『地獄の逃避行』、『天国の日々』、『シン・レッド・ライン』、『ツリー・オブ・ライフ』という傑作を作り続けた巨匠と呼ばれる監督から届けられたのである。威厳ある映像が単なる誇張になってしまったらしい。悲しい、悲しい、悲しい。

日本公開:未定

3位『フィフティ・シェイズ・ダーカー』

ゴージャスな裸体がエクスタシーに身悶えし、最高の性愛玩具を持って逃げる……こんなストーリーをどうやったら退屈な作品に仕上げられるのか? 2015年の『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』も消毒済みの中途半端なSMプレイだったが、その続編にあたるのが今作だ。億万長者のクリスチャン・グレイを再び演じるのがジェイミー・ドーナン。デジタル雑誌編集部に勤め始めた語彙力不足のアナスタシア・スティールも前作同様ダコタ・ジョンソンが演じる。彼女はクリスチャンにもう一度自分を輝かせてほしいと願うのだ。彼らが初めてニップルクランプを装着したシーンで彼らが恥じらっていると思った人は、はっきり言って見当違いだ。(そっちの才能に溢れたジョンソンは今作でさらに開花する。) 前作と今作の原作であるE・L・ジェイムズのベストセラー小説では、支配と服従の関係を成り立たせる本質から学ぶことがあると提示している。しかし、そのような学びはこの作品からは得られない。まあ、そういう野暮なことは考えないのが一番だろう。

日本公開:終了 ※DVDリリース、デジタル配信済み

2位 『ダーク・タワー』

スティーヴン・キングの小説は残忍で、恐ろしい、思いが込められた映画へと変身する。例を挙げると、『キャリー』、『シャイニング』、『ショーシャンクの空に』、『スタンド・バイ・ミー』、『ミザリー』、『イット』など傑作が多数作られてきた。今作『ダーク・タワー』は、キングの全8部構成の長編小説を原作にしているため、そのストーリー展開には計り知れない可能性がある。しかし、映画版ではガスリンガーをイドリス・エルバが、その敵である黒衣の男をマシュー・マコノヒーが演じているにもかかわらず、そんな可能性がすべて吹き飛んでいる。小説を映画化した作品の失敗の原因を知りたければ、完璧なモデルケースとしてこの作品をお勧めする。

日本公開:一部地域を除いて終了 ※6月6日よりDVDリリース

1位 『トランスフォーマー/最後の騎士王』

2017年度、マイケル・ベイ・アワードの最悪シネマ賞は……というのは冗談だが、マイケル・ベイが5作目のトランスフォーマー作品を作った。(愚劣な創造性、矛盾した筋立て、脳が痺れるほどの騒音、人を小馬鹿にした宣伝という要素を含んだフランチャイズ系作品の中でトランスフォーマーはダントツ1位だ。) アイデアの絞りカスとも思える『最後の騎士王』は人間の手が加わっていないように見える。監督のクセも特徴も感じられない。プロットは「巨大なボットが生まれたのは暗黒時代で、歴史の中でなぜか消えることなく、ナチとの闘いに携わるなどして勇敢に変形してきた」と暗示している。今回は、英雄のオプティマス・プライムがダークサイドに落ち、メガトロン(フランク・ウェルカー)が地球を破壊しようと企む。映画の中では助けが来るが、使い古しのベイの表現方法から観客を救う助けは来ない。吉報は興行収入がシリーズ最低なのがこの作品だということ。遂にみんなが気付いたのか? マーク・ウォルバーグは今作を最後にこのシリーズから卒業する。我々もそうしようではないか。

日本公開:終了 ※DVDリリース、デジタル配信済み


Translated by Miki Nakayama

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