全米アルバムNo.1のポスト・マローンが語る「白人であることとアウトサイダーの美学」

『ビアボングズ & ベントレーズ』は発売から1週間で6億7500万ストリーミング再生された(Photo by Anthony Pidgeon/Redferns)

フジロック・フェスティバルで待望の初来日が決まっているポスト・マローン。最新アルバム『ビアボングズ & ベントレーズ』は余裕の全米アルバムチャート1位となり、デジタルを含む、アルバム換算枚数としては46万枚を超えるセールスを叩き出し、2018年で最も売れたアルバムとなった。そんな彼が直面してきた人種問題について、ローリングストーン誌に語った。

黒人文化に根差したアートフォームの分野で大きな成功を収める白人の自分が、紛れもないアウトサイダーであることを彼は自覚している。ローリングストーン誌の昨年の取材では、過去Vineにアップした動画の件(冗談交じりに「ニガー」という言葉を使った)を謝罪。ただ、そんな彼に対して懐疑的な目を向ける人も少なくない。



なかでも広く知られているのは、2015年に出演したラジオ番組で、ホストのシャルルマーニュ・ザ・ゴッドから「ブラック・ライヴズ・マター」ムーヴメントに自身がどう貢献しているかと問われた場面だろう。「俺にできることがあるとすれば、それはとにかく音楽を作り続けることだと思う」。その返答がお粗末だったと認めながら、彼はこう話す。「『そういうあんたは一体どう貢献してるんだ?』。そう言ってやりゃ良かったんだけどな。返す言葉がないに違いないからさ。別に自分の音楽が一番だなんて思っちゃいないけど、俺は決して悪い人間じゃない。ヤツはただ俺のことが気にくわないんだよ」

マローンは首を横に振ってこう続ける。「嫌なやつさ。白人でアウトサイダーの俺のことが我慢ならないんだろうな。でも俺が成功していることは否定しようのない事実だし、ヤツにそれを邪魔することはできない」

それについてシャルルマーニュは、自身が複数の社会正義支援組織に関わっていることに言及した上でこう話している。「俺は白人だからという理由で相手を嫌ったりしない。当時彼のことが好きになれなかったのは、彼をフェイクとみなしていたからだ」。しかし「ロックスター」は好きだという彼は、マローンにこうエールを送っている。「今後の活躍に大いに期待している。そしていつか、何かしらの形で黒人のコミュニティに還元してほしい」)

敵対的に映るかもしれないが、シャルルマーニュは白人優位の社会体制や、黒人文化に対する敬意のあり方という問題を提起しただけなのではないかと筆者は述べた。マローンは頷きながらも、自身が逆の形で人種差別の標的にされていると主張する。「世間の一般的なイメージに当てはまらないものは嫌悪の対象になるんだ」。そう話す彼は、国歌斉唱に際して膝をついたNFLの選手たちを支持しているという。「平等な社会の実現、それはどちら側にも求められていることだ」。彼はそう話す。「音楽の力で、さまざまな軋轢を乗り越えて、世界をより美しい場所にできればと思っているよ」



FUJI ROCK FESTIVAL’18
期間 : 2018年7月27日(金)、28日(土)、29日(日)
会場 : 新潟県 湯沢町 苗場スキー場
※ポスト・マローンは7月27日(金)に出演
http://www.fujirockfestival.com/

Translated by Masaaki Yoshida

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