メタリカ流の慈善事業、ラーズが語る支援活動から学んだこと

バンドとして初の「慈善の日」について語った、メタリカ・ドラマーのラーズ・ウルリッヒ (Photo by Mat Hayward/Getty Images)

メタリカはバンドとして初の「慈善の日」を開催し、バンドメンバーとファンが食糧支援を行なっているNPO団体へ支援金を寄付し、地域社会に還元する機会を設けた。ドラマーのラーズ・ウルリッヒがローリングストーン誌に、この支援活動について語ってくれた。

米国現地時間5月23日、メタリカはバンドとして初の「慈善の日」を開催し、バンドメンバーとファンがフードバンク(※困窮者に食糧支援を行うNPO団体に食料を配給する施設)の支援金を寄付し、地域社会に還元する機会を設けた。このイベントはメタリカが主催するチャリティ基金「All Within My Hands Foundation」の活動の一環として開催された。この慈善団体は危機的状況にある地域サービスを援助し、職業訓練を支援し、飢餓の撲滅を目指している。ドラマーのラーズ・ウルリッヒは米サンフランシスコのマリン・フードバンクに登場し、食料を必要としている人々のためにオレンジの箱詰め作業を行いながら、ファンと交流した。メタリカが食糧と貧困問題を取り上げた理由と、今回のイベントから学んだことをウルリッヒ自身が記者となって報告する。

俺たちの人生は素晴らしいものだ。音楽を演奏しながら世界中を旅する幸運に恵まれ、コンサートを通して人々と交流し、彼らと親密な関係を築きながら同じ時間、素晴らしい体験を共有できる。この音楽の旅路を始めて40年を迎えるにあたって、俺たちの素晴らしい人生から生じる善意と幸運を、自分たち以外の人たちと共有したいという思いが沸き起こった。実はこれは何年も前から常に頭の片隅にあったことでもある。

メタリカという言語と文化には、かつてシニシズムが原動力の一つとして常に存在していた。世間に対して常に疑問を投げかけ、不信感を募らせ、誰も信用しないというように。そのため、同じエンターテインメント業界で活躍している人たちが行う慈善事業に対してかなり懐疑的だったのも事実だ。そして本来の善行よりも、活動を牽引する者を称賛することにスポットライトが当たり、活動家のスタンドプレイが取り上げられる状況に対して、この上もなく疑心暗鬼になっていた。


Lars Ulrich’s Twitter/San Francisco-Marin Food Bank

そんな理由から、メタリカの社会還元活動は何年も気づかれないまま実行されてきたのである。俺たちはコンサートを行う都市や町のフードバンクと密接に連絡を取り合い、楽屋に準備されるケータリング・フードの手付かずの残り物がすべて食べ物を必要としている人々に確実に渡るように手配し、その地域の慈善事業への寄付も行ってきた。

Translated by Miki Nakayama

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