マイケル・ジャクソンの遺産管理人、無許可のTV特番放送でディズニーを提訴

マイケル・ジャクソン・エステートがウォルト・ディズニー・カンパニーとABCテレビを提訴( (Photo by Kevin Mazur/WireImage) )

マイケル・ジャクソン・エステートがウォルト・ディズニー・カンパニーとABCテレビを相手取り、著作権侵害で連邦裁判所に告訴した。両社は、先週ABCが放送した特別番組「The Last Days of Michael Jackson」内で無許可の著作物を多数放送したとされている。

これは、2時間の特別番組を無許可で放送したことに対する訴訟だ。番組では、ジャクソンが外科手術の準備段階で使用する強度のプロポフォールを常習的に使用しており、その購入費用によって生じた負債を返済するためにカムバック・ツアーを計画していたと述べ、「ビリー・ジーン」、「ビート・イット」、「今夜はドント・ストップ」など、多数の楽曲を無断使用したと、ジャクソンの遺産管理人は主張。また、ジャクソンのミュージック・ビデオや記録映像もかなりの分量を使用しており、遺産管理人が著作権を所有しているジャクソンのトライアンフ・ツアー他の複数のコンサートのライブ映像、スパイク・リーが監督したドキュメンタリーの映像、劇場映画『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』の映像などが多く含まれていたと言う。

「ディズニーとABCは遺産管理人が著作権を所有する素材を、遺産管理人の許可なく使用するという故意で意図的な著作権侵害を行った」と、ジャクソンの遺産管理人の弁護士ハワード・ワイツマンが声明を出した。この声明は「自社が著作権を持っている素材に関しては、ほんの些細な使用であっても決して許可しないディズニーが、このような行為したことに驚きを禁じ得ない」と続く。

そして「ディズニーとABCの今回の行為は違法であり、業界の慣行とも相容れず、ディズニーとABCの弁護士に対して当方の遺産管理人から繰り返し警告文書が提出されたにもかかわらずに実行された」となっている。さらに「ディズニーとABCは番組内でジャクソン・エステートが著作権を所有している素材を事前に許諾を得ることなく使用した。ディズニーが所有する知的財産、つまり、ミッキーマウス、シンデレラ、スター・ウォーズ、アベンジャーズ、トイ・ストーリーなど多くの作品の素材を、彼らの許諾やライセンス契約なしで使用したらどんな困難が待ち受けているのか、想像してほしい。ジャクソン・エステートはこの仕事に不可欠な知的財産を積極的に保護する以外に道はないのである」と結ばれている。

この訴訟に対するコメントをABCに求めるも即座の返答はなかった。しかし、ABCはすぐにこの特別番組を擁護する立場をとり、このドキュメンタリーは「現在も世界中で関心の高いマイケル・ジャクソンの人生、キャリア、レガシーを深く掘り下げたもので、この番組は彼の遺産管理人の権利を侵害してはいない」と発表した。

この訴状では、遺産管理人が特別番組のことを知ったのが放送の2日前だったと述べられている。また、遺産管理人が著作権を持つジャクソンの画像を使用した番組予告を見た直後にウォルト・ディズニー・カンパニーに連絡したという。これに対してディズニー側は「礼儀を示すため番組予告から特定の画像を削除した」と返答している。その後、遺産管理人側からディズニーの弁護士に対して何度も異論を訴えたが一切返答がなかったとジャクソン・エステートは述べている。

Variety誌は、米現地時間5月24日(木)の同番組が放送された時間帯で、これが560万人が視聴した最も視聴率の高い番組だったと報じている。また、この番組にはバーバラ・ウォルターズとダイアン・ソーヤーが行ったジャクソンの未公開インタビューも含まれていた。

放送に先駆けて、遺産管理人は「この特別番組は我々の許可を得ていない粗野な番組で、マイケル・ジャクソンのレガシー、知的財産、子どもたちへの敬意を欠いており、マイケル・ジャクソンの人生、音楽、イメージを著しく損なう企てである」として、放送中止を呼びかける声明を出していた。

Translated by Miki Nakayama

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