ピューリッツァー賞を受賞したケンドリック・ラマー、『ダム』に込められた想いとは

2017年のアルバム『ダム』でピューリッツァー賞音楽部門を受賞したケンドリック・ラマー(Photo by Shutterstock.com)

ケンドリック・ラマーが、アルバム『ダム』が高評価されて決まったピューリッツァー賞音楽部門を、ニューヨーク市のコロンビア大学で行われた授賞式で受賞した。クラシック音楽家やジャズ・ミュージシャン以外でこの賞を受賞したのはラマーが最初ということで注目されてきた。

ピューリッツァー賞選考委員会の受賞者発表時の内容が反映されたアーティストの紹介の中で、プレゼンターがラマーの4枚目のアルバム『ダム』を「そのジャンル特有の言語を使って真摯に書かれた名手の手による楽曲の集合体で、現代のアフリカ系アメリカ人の生活や人生の複雑さを捉えた感動的な小作品群である」と描写した。

ラマーはCBSのニュースアンカーのゲイル・キングと同じテーブルに着席し、受賞中のコメントはなかったが、ピュリッツァーの公式Facebookに投稿されたライブ動画で「本当に名誉なことだ……。ずっと曲を作ってきたから、こんなふうに認められることは……本当に素敵だ」と短いコメントを残している。

アルバム『ダム』は2018年のグラミー賞で最優秀ラップ・アルバム賞を受賞し、年間最優秀アルバムにもノミネートされた作品だ。2017年8月に米ローリングストーン誌の取材で、ラマーはダブル・プラチナとなったこのアルバムの制作中の自身のアーティストとしての心境を語っていた。

「当初の目標は商業的な最初の2枚のアルバムのハイブリット作品を作ることだった」とラマー。「その点に意識を集中していたし、メロディーを通してサウンドや歌詞をどう伝えたらいいのかを真剣に考えていた。出来上がったものは頭の中で聞こえていた音楽そのものだった……全部、自分自身を表した楽曲さ。4歳のときから音楽の才能が自分の原動力だったし、それが自分という人間だし、どうやって表現するかが自分にとっての最大のチェレンジなんだ。『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』から『ダム』へ進む時、このアルバムは正しく作られないと確実に失敗すると思った。だから、自分らしさを損なわないようにする一方で、扱うテーマにも慎重になったし、テーマをどんなふうに綴るかにも神経を使ったよ」と述べていた。




Translated by Miki Nakayama

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