彼らが日本でライブを行うのは2007年のサマーソニック以来となり、単独公演としては実に13年ぶりとなる。今回の来日公演では、デビュー・アルバムにして名盤と名高い『Turn on the Bright Lights』の再現セットに加え、『Marauder』の収録曲を含むグレイテスト・ヒッツを披露する、2部構成のスペシャル・ライブになる予定だという。また、あわせて新曲「The Rover」も公開されている。
昨年バンドは『Turn on the Bright Lights』を再現した15周年記念ツアーの大成功を収めた。それを目の当たりにしたファンがその余韻に浸ったりしている間、メンバーは静かに(もとい大音量で)、単なるカルチャーと時代の一欠片にならないような強力な最新アルバムの制作に励んできた。その結果こそが本作『Marauder』である。また特筆すべき点として、本作では2007年の『Our Love to Admire』以来初めて、プロデューサーを起用。マーキュリー・レヴのメンバーでもあり、フレーミング・リップス、MGMT、スプーン、モグワイなど、数多の超一流バンドを手がけて来たことで知られるデイヴ・フリッドマンが迎えられた。さらにリードボーカルのポールが、今回初めてベーシストとしても活躍している。
ポールは今までの人生において様々なキャラクターを体験し、それらの影がアルバムから顔を覗かせる。それは「Now You See Me at Work, Dear」の好奇心旺盛なナレーターであり、「Flight of Fancy」で恋人との関係を悔やみながら振り返る人物であり、「The Rover」の中心にある、民衆を煽りたて、トラブルを引き寄せるキャラクターだったりするが、それらは全てポールの過去〜現在〜未来における魅力的な軌跡であり、作品を通じて紡がれていくのである。