アジカンのツアー「BONES & YAMS」でサポートを務めた、ニック・ムーンのライブ・レポートが到着

ASIAN KUNG-FU GENERATION 『Tour 2018 「BONES & YAMS」』でオープニング・アクトを務めたニック・ムーン(Photo by Tetsuya Yamakawa)

UKレスター出身のポストロック・バンド、カイト(KYTE)のフロントマンであり、4月にソロ・アルバム『CIRCUS LOVE』をリリースしたドリーム・ポップ・アーティスト=ニック・ムーン。今年から活動拠点を日本に移したという彼が、かねてより親交を深めていたASIAN KUNG-FU GENERATIONの全国ツアー「BONES & YAMS」でオープニング・アクトに抜擢。今回は、ツアー2日目の6月8日、Zepp DiverCity公演でのライブ・レポートをお届けする。

■ マッド・サイエンティストのような演奏風景と、一人とは思えない臨場感

UK/レスター出身のバンド、KYTEのフロントマンからソロへと転身。デビュー・アルバム『CIRCUS LOVE』でエレクトロニックでドリーミーな新境地を開拓したニック・ムーンが、ジャパン・ツアーに乗り出した。このツアーはASIAN KUNG-FU GENERATIONによる全国ツアー「BONES & YAMS」のオープニング・アクトを務めるという、海外アーティストとしては異例の試み。しかも6〜7月に掛けてと長期間に渡る。彼の音楽性がアジカンのファンにどんなふうに受け留められるのか興味津々だが、アジカンのファンもアジカンが選んだアーティストだけに同様だった様子。ニックの出演タイムから既にオーディエンスはギッシリ満員。6月8日(金)、ツアー2日目のZepp DiverCity公演をチェックした。

ニックが登場したのは、開演時間の20分ほど前(彼の出番は毎夜このタイミング!)ステージ右手に据えられたラップトップやキーボード、電子機材の前に立った彼は、開口一番「東京は元気ですか?」と日本語で挨拶。一気に会場の雰囲気を和ませる。オープニング曲は、スウィートでメランコリックなエレポップ「So Well」から。自身の歌声や演奏した音色を機材に取り込み、それらを次々と重ね合わせて、ループを描いていく。ハンドマイクで歌いながら、機材を弄って大忙し。そんなマッド・サイエンティストのような演奏風景に、ど肝を抜かれた人も多かったようだ。

目前に壮大な風景が広がる「Something」、弾き語り調から次第にダイナミックになった「Space 666」など、エモーショナルなヴォーカルを煌びやかなサウンドに乗せていく。サウンドのレイヤーが分厚くなるにつれて、1曲の中でのドラマ性もどんどん膨らんでいった。いったんバックトラックが完成してからは、ステージ中央でヴォーカルだけに集中したり、オーディエンスを煽ったりも。一人きりのライブとはいえ、臨場感が圧倒的だった。

ここしばらくは日本を拠点に活動するというニックは、日本語を勉強中。「日本語、勉強してるけど、難しいね」「アジカン、ありがとう。大好き!」といった、ほぼ日本語だけで貫き通したMCも好感度大。ラスト・ナンバー「You & Me」の中盤からは手拍子も沸き起こり、和気藹々としたムードに包まれ終了した。

一方の、ニックとは以前から親交の深いアジカンは、一体感抜群のバンド・サウンドで魅了する。拘りの裏ベスト『HONE』と『IMO』の2枚のアルバムに収録されたレア曲を中心に、お馴染みの代表曲を加えた構成だ。一人でバンドをやっているかのようなニックとは対照的ともいえる、バンドによる一丸となったサウンドを放出。一糸乱れぬ団結力を見せつけ、酔わせてくれた。「秋にリリース予定の新作には、海外の大物アーティストたちも参加」というニュースも後藤正文から明かされ、ファンは大喜び。2時間たっぷり、これまでの過去の軌跡を振り返りつつ、新作への期待も募らせてくれた。

(文:村上ひさし)



7月20日(金)まで、ASIAN KUNG-FU GENERATIONと共に全国各都市を回るニック。その翌週には、ソロとしては初となるフジロックフェスティバル ‘18への出演も決定している。

ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2018「BONES & YAMS」
2018年6月7日(木)〜全国22公演
※オープニングアクトとして出演
http://www.akglive.com/tour2018/

ニック・ムーン オフィシャルページ 
http://www.nickmoon.net/

ソニーミュージック ニック・ムーン公式ページ
http://www.sonymusic.co.jp/artist/nickmoon/

Rolling Stone Japan 編集部

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