「日本3大音楽フェス」関係者だけが知っている歴代ベストシーン:フジロック編

3日間で200組以上のアーティストが出演するフジロックフェスティバル(photo by 宇宙大使☆スター)

今やすっかり夏の風物詩となった、音楽フェスが日本に根付いてから20年が経つ。近年は子連れで参加するオーディエンスも増えており、ビギナー/リピーターを問わず音楽と戯れ合う光景は、カルチャーとしての成熟ぶりを感じさせる。そのなかで、「日本の3大音楽フェス」と呼ばれるFUJI ROCK FESTIVAL(フジロック)、SUMMER SONIC(サマソニ)、ROCK IN JAPAN FESTIVAL(RIJF)は、アーティストと観客の熱狂が生んだ無数のドラマに加えて、フードやファッションといった音楽のみにとどまらないエンターテイメントの多様性でも時代をリードしてきた。そこで今回RSでは、それぞれのフェスと縁の深い関係者にインタビューを実施。彼らが目撃したベストシーンとエピソードを振り返ってもらった。

vol.01 FUJI ROCK FESTIVAL(フジロック)

1997年に誕生した、日本を代表する野外ロックフェス。国内外から集うラインナップの多様性や、自然に恵まれた開放的なムード、十人十色のスタイルで楽しめる懐の広さで、多くのリピーターを生み出し続けている。このようにフジロックが愛される理由を今一度確かめるべく、公式ファンサイトのカメラマン総括にインタビューを行った。

音楽を被写体にするきっかけをくれたのがフジロック

公式ファンサイト「FUJIROCKERS.org」(以下org)は、「FUJIROCK EXPRESS」での速報レポートなどを通じて、フジロックの魅力を1997年の第1回から発信してきた。スタッフは基本的にボランティアだが、好きだからこそのアイデアと熱量に満ちた活動からは、同フェスを楽しみ尽くそうというスタンスが伝わってくる。そこでカメラマン統括を務める森リョータさんが、orgに携わるようになったのは2003年のことだった。

「2002年のフジロックが終わった後に存在を知って、行ってみたいなーと調べてみたら、たまたまorgがスタッフを募集していたんです。当時はまだライブ写真を撮ったこともなかったけど、単純に人がたくさん集まる光景を撮影してみたくて」

もともとは、戦場カメラマンを志していたという森さん。2002年のサッカーW杯のときには、開催地だった日本と韓国を往復しながら、スタジアムの外やパブリックビューイングで盛り上がる観衆をひたすら撮影していた。

「バックパッカーのように旅して、2カ月くらいそういう写真を撮っていたんです。それだけドキュメンタリー写真への憧れが強かったなかで、音楽を被写体にするきっかけをくれたのがフジロックでした。初めて行った2003年は、ずっと観たかったビョークに感激しつつ、お客さんの写真ばかり撮っていましたね」

orgのスタッフとも早々に意気投合し、2004年には早くもカメラマン総括に就任。そして、「写真にエネルギーを映したいから、ドカーンと盛り上がっている写真のほうが好きなんです」と語る森さんの興味は、オーディエンスからミュージシャンへとシフトしていく。フジロックの印象深いシーンについても訊ねてみた。

「2013年のナイン・インチ・ネイルズはとにかく土砂降りで、雷も鳴ってたじゃないですか。照明や演出も凝っていたのに、そのうえ天候まで味方して、あのステージは神懸かってましたね。それから、火のついたギターを掲げて登場した2004年のアッシュ。RED MARQUEEだとOK GOの紙吹雪も派手だったけど(2014年)、あれにはびっくりしました。あと、2008年のマイ・ブラッディ・ヴァレンタインは、音のデカさがハンパなかった。ただただ心地良かった」

さらに、客席へのダイブを激写したという2009年のケイジ・ジ・エレファント、足を骨折していたデイヴ・グロールの“玉座”も話題となった2015年のフー・ファイターズとハイライトを挙げていくなか、森さんが感慨深げに語っていたのが、フジロックを愛し、フジロッカーズに愛されたUKバンドとの思い出だった。





台風直撃した第1回のレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンを皮切りに、レッチリやプライマル・スクリーム、フー・ファイターズなど、多くの海外アクトが伝説を残してきた。

「ザ・ミュージックは、ロブ(ロバート・ハーヴェイ:Vo)の髪があるときから追っかけてきました。ユニバーサルに移籍した2008年からは、アーティスト写真も撮らせてもらうようになって。だから、(2011年に)彼らが解散ライブの舞台としてフジロックを選んだのは、ファンとしてもカメラマンとしてもジーンときましたね」


ヒットの起爆剤となった代表曲「ザ・ピープル」で、フィナーレを飾った2011年のザ・ミュージック。

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