傑作『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』を形作った、アフリカ訪問とネルソン・マンデラへの想い

2017年のローリングストーン1294号で表紙を飾ったケンドリック・ラマー(Photo by Leonard Zhukovsky / Shutterstock.com)

今週末に迫ったフジロック。Rolling Stone Japanでは28日に出演するケンドリック・ラマーにフォーカスを当て、2017年のローリングストーン1294号のカバーストーリーを再構成し、ライブ前日まで連載記事としてお届けする。第六回はトランプ政権について。

全米No.1ヒットを記録してグラミー賞11部門にノミネートされた他、〈ブラック・ライヴズ・マター〉運動のアンセムとなった「オーライト」を生み出すなど、名実ともに現代アフリカン・アメリカン・カルチャーを代表する傑作となった『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』。ケンドリック・ラマーは、同作のインスピレーションとして、実際にアフリカを訪れた経験が大きかったと話している。

「ここが自分の居場所だって感じたんだよ。それに尽きるね。アフリカという大陸について学び、語られない多くの真実があることを知り、俺はこの足でその大地を踏みしめてみたいと思ったんだ。自分がどこからやってきたのか、俺はその答えを見つけた気がした。俺の生まれ育ったコンプトンがいかにちっぽけかってことも、あの場所を訪れてみてよく分かった。衝撃があまりに大きくて、帰りの飛行機に乗ったときに違和感を覚えたほどだったんだ。みんな口を揃えてこう言ってたんだよ。『アメリカに戻んなきゃいけないのか。俺たちの居場所はここだってのに』」

ケンドリック・ラマーは2014年、初めて南アフリカでコンサートを開催。そのツアー中、彼は故ネルソン・マンデラが投獄されていた刑務所を訪れていた。ネルソン・マンデラは、生涯をかけて人種隔離政策アパルトヘイトの撤廃に尽力した、南アフリカ共和国が誇る英雄。ケンドリック・ラマーは『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』の最終曲「モータル・マン」のリリックで、ネルソン・マンデラのことを取り上げている。

「実際に彼が収監されていた牢に入ったんだ。囚人たちが採掘した宝石も見せてもらった。その物語を身近な人々に伝えて欲しいと、彼らの魂が自分に語りかけてくるような気がしたよ。そして俺はその通りにした。あの場所で身につけた知識と知恵をもって、俺は地元の仲間たちに語りかけた。それが『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』だったんだ」



Edited by The Sign Magazine

FUJI ROCK FESTIVAL’18
期間 : 2018年7月27日(金)、28日(土)、29日(日)
会場 : 新潟県 湯沢町 苗場スキー場
※ケンドリック・ラマーは7月28日(土)に出演
http://www.fujirockfestival.com/

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