あらゆる犯罪を目にしてきた少年時代に、ケンドリック・ラマーを救ってくれた家族の存在

2017年のローリングストーン1294号で表紙を飾ったケンドリック・ラマー(Photo by Scott Dudelson/Getty Images for Coachella)

今週末に迫ったフジロック。Rolling Stone Japanでは28日に出演するケンドリック・ラマーにフォーカスを当て、2017年のローリングストーン1294号のカバーストーリーを再構成し、ライブ前日まで連載記事としてお届けする。第八回は家族の存在について。

ありとあらゆる犯罪が横行するコンプトンで、ケンドリック・ラマーがギャングスタのルールに与することなく真っ当な人生を送ってこれたのは何故なのか。それには家族の存在が大きかったのだと、彼はローリングストーンの取材に答えている。

ーあなたは地元のコミュニティにおいて、自分が父親の顔を知る数少ない子供の一人だったと語っています。新作のエンディングで、あなたはそのことが自分を救ってくれたと示唆しています。なぜそう思うのでしょうか?

「そうだな…(しばらく沈黙)いろんな感情への対処の仕方を教わったからだと思う。俺の周りには、それができないヤツらがたくさんいたから。子どもの頃に世間が悪とみなす行為に手を染めるヤツらは、悪いことをしてるっていう認識がないんだよ。でもその子どもに父親がいれば、『何やってんだ!』ってきっと叱られる。引っ叩かれて恨めしく思いながらも、本人は自分が間違ってたって理解するんだ。幸運にも、俺はそうやって育てられたんだよ。俺の周囲にいたヤツらは、母親や祖母の愛情を受けていたかもしれないけど、そういう正しい道を示してくれる人間がそばにいなかったんだ」

ケンドリック・ラマーは『ダム』の収録曲「DNA」で、「俺は全部この目で見てきた。人殺し、投獄、放火、クスリ、強盗、死、救済、学者、父親の死」とラップし、「俺が経験してきたことは、俺が経験してきたことを知らないと理解できないだろう」と話している。しかし、そんな壮絶な子ども時代にも救いとなったのは、家族とのかけがえのない日常だったようだ。

「子どもの頃でも、そんな悲惨なことばかり経験してたわけじゃない。最高にハジけたパーティや、つらいことを忘れさせてくれるようなジョークもたくさん覚えてるよ。俺の親父や叔父さんは、いつも俺を死ぬほど笑わせてくれた。母さんも優しいだけじゃなく、ユーモアのセンスを持っている人だしね。彼らがいてくれたからこそ、俺は腐ってしまうことなく、ネガティヴな出来事にもちゃんと向き合うことができたんだ」



Edited by The Sign Magazine

FUJI ROCK FESTIVAL’18
期間 : 2018年7月27日(金)、28日(土)、29日(日)
会場 : 新潟県 湯沢町 苗場スキー場
※ケンドリック・ラマーは7月28日(土)に出演
http://www.fujirockfestival.com/

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