フジロック現地レポ「スクリレックス、YOSHIKIとの邂逅でオリジナリティが爆発」

7月28日(土)、フジロック2日目のグリーンステージに出演したスクリレックス(Photo by Shuya Nakano)

フジロックでこんなドラマが見られるなんて、いったい誰が想像できただろうか? YOSHIKIは「フジローック!」とエンドレスに絶叫し、スクリレックスと厚く抱擁し合う。「サンキュー!」と互いを賞賛し合い、オーディエンスに感謝を伝える壮大なフィナーレはX JAPAN譲りで(二人の演奏時間より長かった気がする)、パンパンに詰まった大観衆は涙……というよりは爆笑の嵐だったが、このとき歴史が動いたのは間違いない。

遡ること2013年、スクリレックスのステージはいろんな意味で衝撃的だった。仰々しいカウントダウン、宇宙船のような特大セット、火柱が吹き荒れるド派手な特効、未来的すぎるVJ、そして暴力的に歪みまくったベースライン。当時の日本では、まだEDMも浸透していなかったはず。アクロバティックで扇動的なセットは、新時代の到来を告げるものだった。

何より痛快だったのは、スクリレックスことソニー・ジョン・ムーア本人の人間力である。当時のエンディングでは日章旗を振り回し、ステージを駆け回る途中でズッコケるなど、音もステージングもツッコミどころ満載。もちろん、そういう愛されキャラこそポップスターの必要条件でもあるわけで、フジ出演後まもなくダンス・ミュージックの頂点に登り詰めたのは周知の通りだ。

しかし、あれから5年が過ぎた今、シーンの景色は随分と変わった。ちょうど前日のホワイトステージで、オデッサが夢見心地のライブセットを披露していたように、今日のEDMはメロウでじっくり聴かせるスタイルが主流となっている。その状況下で、スクリレックスはどんな最新モードを提示するのかは気になるところ。そこへ直前になって、YOSHIKIとの共演予定まで電撃発表されてしまい、何が起こるのか予測不可能となったわけである。

降ったり止んだりしながら、5年前と同じように雨は強くなっていく。開演時間の5分前になったところで、ステージ両脇のスクリーンにタイマーが表示される。あのときとまったく同じ演出、スクリレックス印のお約束に、観客も昂ぶりが抑えられない様子。数字が減るに従ってBGMもアップテンポになり、「5、4、3、2、1……!」とカウントダウンする声がGREEN STAGEに響き渡る。そして、数字がゼロになるとDJブースに主役が登場。自身の楽曲「WTFIWWY」を投下すると、いきなりテンションは最高潮となった。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE