三浦大知、20年のキャリアを支えた身体論とは?

ー群舞で言えば、それこそ三浦さんには大きなルーツとしてマイケル・ジャクソンというパイオニアがいますが、最近の音楽で何か気になったパフォーマンスはありましたか?

それこそ先日アメリカで行われたスーパーボウルにおけるジャスティン・ティンバーレイクのハーフタイム・ショーは、観ていてものすごくハッピーでしたね。

ー観ました。同感でした。

あれって一人ひとりのスキルが云々とかいう話ではなくて、みんなジャスティンの曲が大好きで、同じ時間と場所で同じ楽しさを共有していて、みんなが同じことを思いながら踊っているという、強い想いの集合している様子が伝わってくる感じが素敵だったんだと思うんですよね。あとはもちろん個々の演出の素晴らしさやプリンスのトリビュートもあったし、ニューアルバムの世界を踏襲しているなあというのも伝わってきましたけど、何よりジャスティンがものすごく普通に、音楽的なアプローチでショーに臨んだ姿勢に感動しましたね。

ーああ、なるほど。

ハーフタイム・ショーって、どうしても何か飛び道具で勝負する、みたいなアプローチになりがちな場だと思うんです。でも、あの日のジャスティンは衣装も割とリアルクローズ寄りで、自分のワンマンでやっている演出をそのままベストな状態で持ち込んだようなライブをやっていて、しかもそれがきっちり成立していた。それって何だかすごく大人なアプローチだなあというか、あれほどの大舞台をあんなに大人数で、あれぐらいナチュラルに取り組めていたのが素敵だなあと思いましたね。



ーそこも全く同感でした。例えばご自身のツアーにおいては、ステージ構成やセットリスト、ダンサーの数やフォーメーションにバンド、もちろん自分の歌とダンスなど、考えなきゃいけないタスクがごまんとあるわけですよね。三浦さんはそれらに対してどのような手順で取り組んで、ツアーの初日を迎えているのでしょうか?

基本的にはまず自分がテーマとなるアイデアを考えて提案します。「今回のツアーのテーマはこれです。で、こういうことがやってみたくて、こういうセットリストがいいんじゃないかなあ。だからステージのここにはこういう装置があって、こういう見せ方ができたら面白いんじゃないかと思う。なのでセットはこういう感じのデザインがいいんじゃないか」というのを、まずは物理的な問題点なんかを一旦考えずに、テーブルの上にバンッと乗せてみるんですね。

ーなるほど。

そこから今度は「ところでこういうのって現実的に可能なんですかね?」という段階に入ると、「いや、その機材はそういう効果を狙おうとすると数が足りないんだよね。借りられる数の限界がここまでだから」といった意見が専門のスタッフから返ってくるので「じゃあ別の機材で同じような効果を生み出せるものって、何かありませんかねえ?」といった現実的な落とし所を模索し始めるわけです。

ーふむふむ。

自分が作ったフォーメーションについても、例えばリハーサルしていくなかで、ダンサーからの「いや、その大知の見せ方も面白いけど、例えばこれをこういうふうに使うのもありなんじゃない?」というアイデアが面白かったら「あ、それいいね!」と採用してみんなで作っていったりもしますし。つまり0から1までをまず自分が考えて、そこからはみんなでどんどん膨らませていくという感じですね。

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