indigo la End 川谷絵音が選んだ5曲と「オリジナリティ」をめぐる話

-そして、アルバムはやはり1曲目の「蒼糸」と2曲目の「煙恋」が特に素晴らしいなと思いました。これまでのせめぎ合うようなアンサンブルではなく、しっかりとメロディを支えた上で、パートごとにそれぞれのプレイヤーとしての個性も出ているっていうのがアルバム全体の特徴で、中でもこの2曲がそれを象徴してるなって。

川谷:「煙恋」も昔からあって、活動休止前にはライブでやってたんです。で、いつか入れようと思ってたんですけど、なかなか入れられず。最初はリード曲にしようと思ってたくらいなんですけど、でも昔録ったやつをリード曲にするのもなって(笑)。結局今の日本のアーバン感って、3年間くらい変わってないと思うんですよね。俺から見ると全部同じっていうか、歌がめっちゃ上手い黒人がやって成り立つようなやつをやってて、「そういうのを日本人がやってるからすごい」っていう、謎の過程をみんなが聴いてる感じが嫌だなって。なので、それとは違う提示をしたかったというか……まあ、自分たちではアーバンとも特に思ってないんですけどね。普通にいいメロディの曲で、結果的にアレンジがこうなったっていう。「蒼糸」は久々に弾き語りから作ってて、今までで一番いいアレンジができたんじゃないかと思ってます。

-そのポイントは?

川谷:過不足ないなって思って。無駄なところもなければ、足りない部分もないというか、サビに行くところの高揚感もあるし、Cメロのちょっと変わったアレンジというか、ギターだけすごい歪んでメタルみたいなフレーズを弾いてて、その後にいきなりクリーンの世界になるのも、歌詞の世界観と全部合ってるし、最後のサビ前に弦が鳴るところとかも……自分で言うのもなんですけど、全部完璧というか(笑)。これ以上のアレンジはないんじゃないかって思ってます。

-前作に引き続き、今作にもリミックスが2曲入っていて、HVNSとMetomeが参加しています。トラックメーカーはどういうところで知ることが多いですか?

川谷:これは(佐藤)栄太郎(Dr)の推薦ですね。実はゲスの極み乙女。って、CDになってないリミックスが9曲くらいあって、HVNSさんは「キラーボール」をやってくれてるんですけど、それこそアーバンなアレンジで、テンポすら変わってて、それがすごいよくて。栄太郎も言ってたんですけど、この2人って、今の日本のシーンがどうとか考えない人なんですよね。インディゴの立ち位置を知ってて、ファンがどう受け取るかを考えてリミックスする人もいるだろうけど、この人たちはいい意味で何も考えず、ただ自分がかっこいいと思うものを作ってるだけ。俺らも「こういう感じで」とか何も言ってないですし。

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