－という話の流れで、今日のお題である「最近のお気に入りの5曲」をお伺いして、プレイリスト的に紹介できればと思います。一曲目は何にしましょうか？川谷：チリー・ゴンザレスが9月に『Solo Piano Ⅲ』を出すじゃないですか？ その先行トラックを今はめっちゃ聴いてます。最初に公開されたやつは弾きまくってて、俺が思ってたのとはちょっと違うと思ったんですけど、その次の「Present Tense」がすごいよくて。
－チリー・ゴンザレスの名前は以前からフェイバリットとして挙げていますよね。川谷：未だに何回聴いても飽きないんですよね。ピアノは一番美しい楽器だと思ってて、ギターはずっと聴くのしんどいじゃないですか？ どんなに好きな歌もののアルバムでも、ずっと聴いてるとやっぱり飽きちゃうんですけど、ゴンザレスはずっと大丈夫ですね。「無人島に持って行く」みたいなのありますけど、
『Solo Piano』と
『Solo Piano Ⅱ』があれば大丈夫。インディゴも途中から結構ピアノを入れてて、今回のなんてほとんど入ってるし、もはやえつこもメンバーみたいな感じというか。
－ささみおさんも含め、最近はそういう感じですよね。では、2曲目は？川谷：スネイル・メイルの「Speaking Terms」。結局こういうのが好きなんですよね。これは最近出たデビューアルバムですけど、2016年くらいに出たやつはホントに音良くなくて、でもそれでも良さがわかるってすごいじゃないですか？ 今回はギターの音が格段によくなってて……さっきピアノの話しましたけど、やっぱりギターも好きだなって（笑）。
－こういうオルタナな感じね（笑）。川谷：アルペジオの感じとか、結局ここでギターを始めてるんで、いわゆるロックではないんですよね。インディゴの超初期はホントにオルタナっぽい感じだったし、結局こういうのに戻ってくるのかなって。スネイル・メイルとか19歳だし、何周か回ってまた若いアーティストが出てきて、結局そういうのを聴いちゃうなって。
－では、3曲目は？川谷：カニエの新しいアルバムがすごいよくて、どの曲もいいんですけど、「All Mine」はめっちゃ聴いてます。問題発言ばっかりしてるけど、やっぱり音楽はすごいなって。この前米津と話してて、「結局何が一番好きなの？」って話になったときに、「カニエかも」って言ってて。栄太郎もそうなんですよね。カニエが一番くらい好きだって。発言とか全然賛同できないけど、毎回音楽で説得する感じがすごいじゃないですか？ やっぱり、海外の人のほうが意欲的ですよね。日本は売れてるアーティストがあんまり攻めてなくて、売れてないアーティストは攻めてても、結局売れてないわけで。
－ここまで話に出てきた、宇多田さん、サカナクション、米津くんとか、セールスの結果も残しつつ、音楽的に攻めてる人ももちろんいるはいるけどね。川谷：そうですね。でもCDって今ほとんどはグッズ化してて、もはや「このアーティストにお金を払ってあげたい」っていうファンの気持ちでしかない部分も多いと思うんです。もちろん歌詞カードやジャケットを僕らアーティストは心を込めて作ってますけど、ストリーミングのほうが月額料金だからリスナーがアーティストに払うお金は全部同じで、その分フラットにいろんな音楽を聴けるし、日本も早く時代に迎合すべきだとは思いますけどね。一概には言えない部分もあるから難しいんですが。
－大手の芸能プロダクションが抱える問題が徐々に露呈し始めて、ここ数年で大きく変わりそうな予感もします。川谷：でも、日本はホント少しずつじゃないですか？ この前スウェーデンのAmuseって会社が話題になってましたけど、ああいう新しい動きが日本でも必要で、やっぱり、何度も言いますけど、極論宇多田ヒカルさんみたいな人がCD出さずに全部ストリーミングにするとかやってくれないともう日本は変わらないんじゃないかなって。
－絵音くんが「TACO RECORDS」を作ったのも、自分の活動をよりフレキシブルに展開していくため？川谷：まあ、これまでとそんなに変わらないっちゃ変わらないんですけど、見せ方としてというか、俺は今特殊な立ち位置にいると思うんで、とりあえずひな形を作って、自分のやりたいことをやって、そこからどうするかはこの後次第ではあります。
－アメリカのラッパーたちのような新たな活動の仕方を、日本ではゲスの極み乙女。のMC.Kがやる……かもしれないと（笑）。川谷：昔の名前を（笑）。まあ、チャンス・ザ・ラッパーみたいなことが日本で起こるのかって……。
