D.A.N.の今を知るための7つのキーワード「脳内麻薬が出るような音楽を作り続けたい」

写真左から、市川仁也(Ba)、櫻木大悟(Gt, Vo, Syn)、川上輝(Dr)

ファースト・アルバム『D.A.N.』でシーンに鮮烈な印象を与えた3人組D.A.N.が、およそ2年ぶりのフルアルバム『Sonatine』をリリースした。アルバムやバンドにまつわる7つのキーワードを本人たちとともに読み解く。

デビュー時からサポートメンバーとして、レコーディングにも深く関わってきた小林うてながグループを離れ、メンバー3人のみで作り上げた本作は、研ぎ澄まされた1音1音の存在感がさらに増し、強靭なグルーヴと眩いサイケデリアに貫かれている。ヴォーカリスト櫻木大悟の表現力は飛躍的に進化し、歌モノとしての強度が増しているのも印象的だ。

今回はアルバムやバンドにまつわる7つのキーワードを挙げ、それについてメンバー3人にざっくばらんに語ってもらった。キーワードは、「Sonatine」「海外」「サイケデリック」「エロティシズム」「ギターとシンセ」「安心と不安」「SF」。そこからD.A.N.の、現在のモードが窺い知れるだろう。

キーワード1:Sonatine

─まずアルバムタイトルの『Sonatine』ですが、これはなにが由来ですか?

櫻木大悟(以下、櫻木):北野武監督作品『ソナチネ』へのオマージュなんです。アルバム全曲が完成した段階で、アルバムのタイトルを決めるとなった時、(川上)輝から発案があって。それで映画を観直してみたら、確かにストーリーやセリフ、映像の情景など、かなり僕らの世界観とリンクしているなと思ったんですよね。特にセリフ。「ヤクザ疲れちゃったなあ」とかは、僕らの曲「Chance」の“泳ぎ疲れたよ”という歌詞とリンクしている気もしたし。

─僕が映画『ソナチネ』で印象に残っているのは、「あんまり死ぬの怖がるとな、 死にたくなっちゃうんだよ」というセリフです。それもどこかD.A.N.の世界観とリンクしますね。

櫻木:北野映画の死生観というか、「生と死は表裏一体」みたいな感覚に共鳴するところはあります。おこがましいとは思うんですけど(笑)。

─音楽用語としての「ソナチネ」(小規模なソナタ)という意味も、D.A.N.の音楽性に通じるなと思いました。

市川仁也(以下、市川):たとえばドラムとベースだけでも、どれだけ音楽として成り立つかというのは、今まで以上に意識しました。「歌えるベース」というか、メロディにもなり得るし、いいリズムにもなり得るようなフレーズは、全曲通して考えています。



キーワード2:海外

─今回、レコーディング前にロンドンにあるフローティング・ポインツことサム・シェパードのスタジオを訪問したことも、本作に大きな影響を与えていますか?

櫻木:ものすごく刺激になりました。アイデアの鮮度を大切にするため、思いついたらすぐ録ったり、逆にあまり決めすぎないようにしたり、そういう制作に向かう気持ちの部分で「なるほどな」と思うことはたくさんありましたね。

川上輝(以下、川上):うん。より遊び心というか、考えすぎずにパッと録るみたいなことは、かなり意識してやっていたかもしれないですね。彼のスタジオへ行ったことで、自分たちの制作面での自由度が、かなり高まった気がします。

櫻木:実は、アルバムの中の何曲かは、そのスタジオでプリプロ(プリプロダクション:本番レコーディングまでの仕込み)までやっていて。実はサムがレコーディングしてくれたシンセの音なども、ちょこちょこ入っているんです。「Sundance」という曲のベースエフェクトとかも彼のアイデアです。

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