ソニー、リリースしたマイケル・ジャクソンの楽曲が別人であることをついに認めたか?

マイケル・ジャクソンの死後2010年にリリースしたアルバム『MICHAEL』の収録曲が偽物であると問題となっている(Photo by Barry King/Liaison)

マイケル・ジャクソンの没後にリリースされたアルバム『MICHAEL』に収録された3曲は、実は別人の声であるとの噂が流れ、ファンによる集団訴訟に発展した。

今週金曜日、ほんの2~3時間ではあるが、混乱と困惑が音楽業界を襲った。複数の情報メディアが、ソニー・ミュージックが偽のマイケル・ジャクソンの曲をリリースしたことを認めた、と報じたためだ。実際にはそのような発言はなかったのだが、この誤報により、ここ数年世間を騒がせている陰謀説――そして現在係争中の訴訟――は再び世間の注目を集めることとなった。

問題となってるのは、ソニーの系列会社エピック・レコーズが、マイケル・ジャクソンの死後2010年にリリースしたアルバム『MICHAEL』の収録曲のうち、「Breaking News」「Keep Your Head Up」「Monster」の3曲。アルバムがリリースされるや、大勢のファンや親族から、この3曲は別人が歌ったものだという声が上がった。3曲の歌い出しは従来のマイケルの歌い方と一致しないというのが、彼らの見解だった。ファンの1人ヴェラ・セロヴァさんは2014年、ソニーとマイケル・ジャクソンの遺産管財人、楽曲に携わったプロデューサーら関係者を相手取り、集団訴訟を起こした。これを受けてソニーと遺産を管理するジャクソン・エステートは激しく抗議。ボーカルディレクター、エンジニア、音楽学者らの証言を挙げ、間違いなくマイケル本人の声であると反論した。

訴訟は現在も係争中だが、今週、アルバムのライナーノーツが憲法修正第1条の保護範囲に提供されるかどうかをめぐり、被告側が出廷。情報筋がヴァラエティ誌に明らかにしたところでは、ジャクソン・エステートの弁護士が抗弁の中で「もしボーカルがジャクソンの声でなかったとしても」という表現を使用したために、一部の傍聴人が「別人が歌ったことをソニーがようやく認めた」と思い込んだようだ。木曜日、情報サイトHip Hop N Moreには大きく、「偽マイケルの曲をリリースしたと、ソニーが法廷で証言」という見出しが掲載され、他のメディアもこれを事実として報道した。

ヴァラエティ誌によれば、こうした報道はどれも、弁護士が仮説として述べた発言を誤解したことが原因。「マイケル・ジャクソンが歌っていないなど、誰も認めていません」本件でソニーおよびジャクソン・エステートの代理人を務めるジア・モダバー弁護士は声明を発表し、このようにコメントした。「木曜日に行われた聴聞会は、ソニー・ミュージックおよびジャクソン・エステートが憲法修正第1条の保護に適用されるかを検討するものであり、楽曲の声の主に関する判決は一切出ておりません」

しかしながら、ソニーとジャクソン・エステートは反論姿勢を崩していないものの、以前と比べるとややトーンダウンしている。昨年12月には、双方ともに「マイケル本人の声ではない可能性もある」と発言。だが仮にそうであったとしても、レーベル側は「マイケルの声に違いない」というプロデューサーの意見を信用したにすぎず、詐欺行為には当たらないと主張している。レーベルの過失責任に関しては、90日以内に裁判所の判決が下される予定。

Translated by Akiko Kato

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