RSR密着レポート「愛される自由な共同体、BOHEMIAN GARDEN」

肝心のライブの話。チルアウトだけがボヘミアンの音ではない。ご機嫌なロックもファンクもブルースもある。

初日、ご機嫌なロックを聴かせてくれたのは「golden jubilee〜ウエノコウジ50生誕祭 EXTRA IN EZO」。もともと、ウエノはこのステージに武藤昭平 with ウエノコウジであがる予定だった。だが、ご存知のように武藤昭平は今年3月に食道癌であることを発表し、現在療養中だ。その武藤の代わりにウエノが同世代のミュージシャンを集め、ツアーやフェスに出演を果たしてきた。そのメンバーが凄い。

ギター・藤井一彦(THE GROOVERS)、ドラム・白根賢一(GREAT3)、そして鍵盤・堀江博久という凄腕バンド。しかも今回のステージは3月に50歳を迎えたウエノコウジ生誕祭のエクストラ編ということで、ゲストにCaravanと怒髪天・増子直純が参加。更に急遽、Dragon AshのATSUSHIがダンスで生誕祭に花を添えた。圧巻だったのが、最後に演奏したThe Band「The Weight」のカバー。しかもこの日は石田長生バージョンで演奏。なんと4番をウエノコウジが一人で歌い、会場は大いに盛り上がった。東京で療養中の武藤にもその歌声が届いたんだじゃないかと思う程の素晴らしい演奏だった。



ちなみに、ウエノコウジは「武藤昭平 with ウエノコウジ presents SOLAR JAM」として中津川THE SOLAR BUDOKAN2018への出演が決まっている。武藤の出演は現状アナウンスされていないが、数々の奇蹟を生んできた中津川のステージだけに、うれしい奇跡が起こるのかもしれない。

初日のトリはSCOOBIE DO。今年のライジングの天気は生憎の2日間で、なかでも、初日のSCOOBIE DOがステージに上がる時間は雨がひどかった。広大な会場の隅にあるステージだし、同じ時間帯に別のステージではフィッシュマンズのライブ、怒髪天によるbloodthirsty butchersのトリビュートライブが行われていた。共にレアなステージだけに、正直、ボヘミアンに人が集まるか心配だった。だが心配は杞憂に終わった。大勢の人がSCOOBIE DOのライブに集まってくれた。だが、間もなく本番……というタイミングでアクシデントが発生。

小さなボヘミアンのステージの屋根に雨がたまりすぎて、屋根が危険な状態になった。溜まった雨をはける作業があり30分近く押した。メンバーは集中力を切らさないようにステージの直ぐ後ろで待機。オーディエンスも降りしきる雨の中、開演を待った。そして開演。メンバーがステージに上がるともの凄い歓声があがった。Voのコヤマシュウの歌とパフォーマンスへの集中力が半端ない。観客は雨であることを忘れて、どんどんステージ最前線に押し寄せて行く。

コヤマはMCでも素晴らしい言葉は連発した。「ロックって何だい? 俺が思うに、ロックって命を燃やした音楽だよ。フィッシュマンズもブッチャーズも命を燃やした音楽だ。正直、俺もステージ観てぇよ。でも俺らもロックだから。命燃やしてるんだから、負けるわけにはいかない」と言って、最高の演奏をし続けた。また、「真夜中のダンスホール」では後輩のBRADIOが参加。激しく降る雨の中、オーディエンスみんなが楽しそうに踊るその様は、小説『ライ麦畑でつかまえて』でのエンディング近くで、主人公・ホールデンの妹・フィービーがバケツをひっくり返したような雨の中踊るシーンと重なり、とてつもないイノセントな景色に思えた。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE