RSR密着レポート「愛される自由な共同体、BOHEMIAN GARDEN」

2日目も天気には恵まれなかった。サニーデイ・サービスは、その雨を受けて、急遽「雨の土曜日」をセットリストに加えた。また「セツナ」で見せた狂気ともいえる爆発力はオーディエンスの心をかきむしった。そして、「セツナ」の次ぎの曲に行く前に5月に亡くなったサニーデイのドラマー・丸山晴茂のことを曽我部はMCで話した。「丸山くん」のことを話した後、「愛と笑いの夜」をバンドは優しく演奏した。終演後に曽我部に丸山のことを聞くと「丸山くんがいなくなってとても寂しいです。この寂しさがやがて強さに変わっていくのかもしれないし……。でもまだわからないですね」と、話してくれたが、それはオーディエンスも同じだったような気がする。ただ、この日の演奏は丸山がいなくなった寂しさという隙間を埋めてくれた演奏だったと思う。

「お帰り!」という大きな声に包まれて登場したのが、JOY-POPS(村越弘明+土屋公平)。THE STREET SLIDERS結成35周年を記念してのスーパーユニットだ。メンバーはハリーと蘭丸の2人だけ。この2人が同じステージに立つだけでも奇跡なのに、ハリーの歌声は全盛期のままだし、蘭丸のギターは最高にご機嫌だ。しかも2人が笑顔で演奏しているばかりか、新曲を2曲も披露してくれた。全9曲。最後の「Back To Back」は日本ロック界の金字塔で、大人のロッカーたちが雨の中、狂喜乱舞していたし、アンコールを叫ぶ声がずっと続いていた。

終演後、幸運にも2人に話を聞くことができた。18年ぶりの復活。そしてこの日のステージに関して「俺たち自身、楽しめてて、すごいいい感じでやれてる。あとはみんなが楽しんでくれてたらいいなぁと思って」とハリー。2人でスライダーズの曲を演奏している感想を聞くと「バンド・サウンドはイメージもあるし、忘れられないものではあるけど、もう一回ギター二本でやったらどんな感じで新しい音が出るのか探りながらやっていて楽しいよ」と蘭丸。気になるJOY-POPSの今後については2人して「どうかなぁ」と言葉を濁していたが、2人とも笑顔だった。そして、この後、さらに奇跡が起きた。蘭丸が先導するカタチでハリーと共に、次の出番である仲井戸”CHABO”麗市の楽屋に向かった。3ショットの瞬間は見逃したが、3人でどんな話をしたのか想像するだけでドキドキする。

そのCHABOには本番前に話が聞けた。ボヘミアンと中津川THE SOLAR BUDOKANがソーラーパワーで運営されていることに触れ「1点より2点。そしてその点が線になっていくことはとても意味があるよね」と語ってくれた。そしてCHABOはこの日、HEATWAVE・山口洋がオーガナイズする「MY LIFE IS MY MESSAGE」のメンバーとしてボヘミアンのステージに上がった。このMY LIFE IS MY MESSAGEは3.11をきっかけに山口が立ち上げたプロジェクトだが、山口にこのプロジェクトを7年やってきた手ごたえを聞いたら「手応えなんてないよ。でも、止めてしまったらゼロになる。ロックと同じだよね。」と語っていた。



確かにこうした草の根運動では大きな変革は起きないかもしれない。でも、こうしたプロジェクトを通して新しい価値観が生まれているのも事実だとは思う。共同体としてのボヘミアンが誕生して14年になるが、その成果を若林氏に訊ねたときもこんな答えが返ってきた。「目に見える大きな成果があるわけではないけど、ボヘミアンのフードコードで食べた地元の食べ物が美味しくてフェス以外のときにそのお店に食べに行ったり。あるべきカタチになってきてますよ。そういう新しい繋がり、広がりは実感としてあります」と。

今回のMY LIFE IS MY MESSAGEはCHABOが発した「一体何が出来るんだろう、友達として」という言葉をコンセプトにしたステージで、目には見えないが大切なメッセージと音を奏でてくれた。

そして、今年のボヘミアンの大トリはシアターブルック。この日は2001年にシアターブルックがメインステージ「サンステージ」のトリを務めたときと同じセットリスト。シアターらしく、4曲50分という構成で、即興を織り交ぜながらの最高の演奏となった。

ライブが終了した直後の佐藤タイジにインタビューをしたが、タイジ自身も「最高の演奏が出来たと思う。ライジング20周年の節目にいい演奏が出来てホンマにうれしい」とこの日の演奏を振り返った。そして、自身がオーガナイザーを務める中津川THE SOLAR BUDOKANに向けて「100%自分を出すのがロック。今年の中津川はあなたの100%が出せるフェスになるはず。待ってます!」とメッセージをくれた。



ボヘミアンで発電され、蓄電池に貯まっている電気はそのまま9月の中津川でも使用される。また、ボヘミアンに出演したアーティスの多くが中津川にも出演する。電気とロックとメッセージ。この大切なものでこの2つのフェスは繋がっている。

中津川THE SOLARBUDOKAN2018  
9月22日(土)・23日(日)
http://solarbudokan.com/2018/




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