ボブ・ディラン、2018年のセットリストを大改造

2012年のボブ・ディランのライブ(Photo by Shutterstock)

ボブ・ディランの海外ツアー最終日、久しく演奏していなかった『追憶のハイウェイ61』収録曲を2曲披露した。

ここ数年、ボブ・ディランのネバー・エンディング・ツアーでは興奮の瞬間が数多く生まれた。しかし、そこには一つだけ大きな変化がある。その変化とは、セットリストが毎回ほぼ同じこと。2000年代半ばにディランのコンサートに参加したファンたちは、彼がその日に何をプレイするのか一切予測できなかった。しかし、2013年以降のディランのコンサートは「シングス・ハヴ・チェンジド/Things Have Changed」で始まり、そのあとには十分に準備された演奏が続き、これが約束事のようになっていたのである。あるファンなどは「ペイ・イン・ブラッド/Pay in Blood」は2012年のリリース以来400回以上も演奏されている」と指摘していた。この曲が収録されているアルバム『テンペスト/Tempest』収録の「アーリー・ローマン・キングズ/Early Roman Kings」に至っては、コンサートでの登場回数が「ペイ・イン・ブラッド」を上回る。セットリストを変えないことで、ディランは自分の曲に没頭しながら、古い楽曲に新たな意味合いを見つけようとしているかのようだった。もしくは、彼のバンドを発狂させようとしたのかもしれない。

しかし、こうしたディランの姿勢に変化が見え始めた。7月に行われた韓国ソウルでのコンサートで、オープニング曲が1967年の「見張り塔からずっと/All Along the Watchtower」に変わったのである。この曲はそれまでの3年間、一度もライブで演奏していなかった。このあとに続いた海外ツアーでは、1979年の「ガッタ・サーヴ・サムバディ/Gotta Serve Somebody」と1971年の「マスターピース/When I Paint My Masterpiece」を7年ぶりにライブ演奏した。

そして、ディランは17公演のツアーの最終日まで一番大きなサプライズを隠していた。今日(現地時間8月28日)、ニュージランドのクライストチャーチで、彼は「ライク・ア・ローリング・ストーン/Like A Rolling Stone」を引っ張り出したのだ。この曲は過去5年間で一度しかプレイしていなかった曲である。更にレアな曲「悲しみは果てしなく/It Takes a Lot to Laugh, It Takes A Train to Cry」を2005年以来初めてライブで披露した。1965年6月にたった一日で録音されたアルバム『追憶のハイウェイ61』収録のクラシック曲の登場に、ディランのファンが集うサイトExpecting Rainの熱狂的なファンたちは大喜びだった。このライブ演奏を録音したものはまだ出回っていないが、報道によるとディランは「ライク・ア・ローリング・ストーン」を新たにアレンジしたようで、あるファンは「新アレンジは素敵で、スローなパッセージ部分では(ベーシストのトニー・ガルニエが)ダブルベースを弓で弾いていた」と投稿している。

Translated by Miki Nakayama

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