米FAMEスタジオ60周年記念企画、スティーヴン・タイラーがストーンズ「ブラウン・シュガー」をカバー

「FAMEスタジオ」の設立60周年を記念したアルバムで、スティーヴン・タイラーが「ブラウン・シュガー」をカバー

米アラバマ州にある録音スタジオ「FAMEスタジオ」の設立60周年を記念したアルバムが制作された。ローリング・ストーンズ、ボブ・ディラン、エタ・ジェイムズなどのカバー曲を収録しており、スティーヴン・タイラーによるローリング・ストーンズ「ブラウン・シュガー」のカバー音源が公開された。

2018年4月、スティーヴン・タイラーは自身のソロツアーを中断して、アラバマ州マッスル・ショールズのフローレンス・アラバマ・ミュージック・エンタープライズ(FAME)スタジオでレコーディングを行った。このとき録音された曲は、新しいコンピレーション『Muscle Shoals…Small Town, Big Sound(原題)』に収録されており、かつてこのスタジオで録音された名曲のひとつ「ブラウン・シュガー」をタイラーが彼らしい泥臭さで歌い上げている。

ローリング・ストーンズが、1971年リリースのアルバム『スティッキー・フィンガーズ』のために、マッスル・ショールズ・サウンド・スタジオでこの曲をレコーディングしたのは1969年の終わり頃で、時まさに数多くの優れた作品を生んだこの町の黄金時代だった。テイラー版ブラウン・シュガーは、ミック・ジャガーの張り詰めたジャンピングジャック風の金切り声が、テイラーらしいダーティーで物憂げなトーンに置き換えられている。そして、エクストリームのギタリストであるヌーノ・ベッテンコート、FAMEスタジオのレギュラーメンバーのゴスペル・トリオ、ブラス・セクション、ピアニストが一度限りのソウル・アーミーとして脇を固めているのだ。ジョー・ローガンが最近のインタビューで語ったところによると、テイラーが最も影響を受けたリトル・リチャードが使ったスタジオに、全員が入ってレコーディングしたという。8月31日から始まるフルアルバムを先行予約すると、この曲をすぐにダウンロードできるようになっている。



「俺たちはオリジナル・バージョンを尊重して敬意を評したいと思ったんだが、それと同時に俺たちらしいバージョンにしたいという思いもあった」と、テイラーがローリングストーン誌に語った。「マッスル・ショールズのFAMEスタジオに入った自分がその空気をどんなふうに感じるのかは予測ができなかったね。一時代という言葉では言い尽くせない多くの音楽が作られた場所だから。ここで生まれた曲は全部、人々の人生のサウンドトラックだし、今後絶対に経験できない一つの世界なんだ」と。

『Muscle Shoals…Small Town, Big Sound』はFAMEスタジオ設立60周年を記念したアルバムで、2018年1月に他界した「マッスル・ショールズ・スタジオの父」と呼ばれた共同創業者リック・ホールのレガシーを讃えている。ホールの息子ロドニーが、高名なプロデューサーでドリームラインド・エンタテインメントの創業者であるキース・ステゴールと共に、このアルバムのプロデュースとキュレーションを行った。



このアルバムには、ジェイミー・ジョンソン、ウィリー・ネルソン、クリス・ステイプルトン、リー・アン・ウォーマックがチームとなって演奏するボブ・ディランの「ガッタ・サーヴ・サムバディ/Gotta Serve Somebody」、マイケル・マクドナルドが歌うエタ・ジェイムズの「Cry Like A Rainy Day(原題)」、シャインダウンのブレントリー・スミスが歌う「Mustang Sally(原題)」なども収録されている。テイラー同様、すべての参加アーティストがボーカル録音のためにFAMEスタジオ詣でを実行したという。

このアルバムは9月28日にデジタル配信でリリースされる。アルバム収益の一部はグラミー・ファンデーションを含むマッスル・ショールズの音楽の歴史を支援する慈善団体に寄付される予定だ。

Translated by Miki Nakayama

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