アレサ・フランクリン葬儀:ビル・クリントンが「世紀の歌声」に敬意を表す

アレサ・フランクリンへの弔辞を携帯電話から「Think(原題)」を流して締めくくったビル・クリントン (Photo by Scott Olson/Getty Images)

元アメリカ合衆国大統領のビル・クリントンは、自身をソウル・クイーンの“グルーピー”と呼び、デトロイトの会場グレーター・グレイス・テンプルでの弔辞を携帯電話から「Think(原題)」を流して締めくくった。

米現地時間8月31日に執り行われた稀代のソウル・シンガーの葬儀で、ビル・クリントンがアレサ・フランクリンの思い出を感動的にかつユーモラスに伝える弔辞を述べた。フランクリンの声を「一つの世代を代表する声であり、もしかしたら世紀の声かもしれない」と表現し、自身と妻のヒラリー・クリントンは二人とも「アレサのグルーピー」だと語った。

クリントンは大統領在任中に幾度となくフランクリンをイベントに招いた。デトロイトのグレーター・グレイス・テンプルに集まった弔問客に対して、最近フランクリンの自叙伝を読んで畏敬の念に打たれたと述べ、フランクリンの音楽の進化、他のミュージシャンに対する高い精神や親切心、さらに彼女のファッションセンスのお茶目さをさらりに説明した。「(不謹慎に聞こえるかも知れないがと前置きして)ここに到着したときにお棺のフタがまだ開いていてとても嬉しかった」とクリントン。「今日の彼女がどんな服を着ているか気になっていたからね」と、葬儀に到着した直後のことを語った。「今日の彼女がどんな気分かを見たかったんだ」と。

「この素敵な女性は私たち全員を今日ここに集結させた」と、クリントンが続けた。「私たちがここに集まったのは、彼女が息を呑むほどの才能に恵まれていたからじゃない。もちろん驚異的な才能に恵まれていたけれど。彼女がクイーンだからじゃない。少なくとも彼女の父親、母親、親類縁者にとって彼女はプリンセスだったけれど、ここにみんなが集まった理由は、彼女が勇気を持って生きたからだ。彼女に恐れがなかったわけじゃない。彼女は恐れを克服したのだ。彼女は誠実さを持って生きた。失敗がなかったわけじゃない。彼女は失敗を克服したのだ。彼女はパワーを持って生きた。弱さがなかったわけじゃない。彼女は弱さを克服したのだ」。

クリントンの弔辞は、自身の携帯電話に入っているフランクリンの1968年のクラシックの名曲「Think(原題)」の冒頭を流して終わり、弔問客たちから喜びに満ちた反応を得たのである。

クリントン夫妻とフランクリンの関係は長きに渡った。1993年のクリントンの就任前のコンサートでフランクリンは「夢やぶれて/I Dreamed a Dream」を歌っている。また1994年にフランクリンはケネディ・センター名誉賞を受賞しているが、このときの授賞式にクリントンは参加していなかった。

8月初頭にフランクリンの病気が報じられたとき、クリントンはTwitterに次のような投稿をしていた。「世界中の人々と同じように、ヒラリーと私は今夜アレサ・フランクリンを思い、この半世紀の間、私たちにとってとても大切な彼女の歌を聞いている。みんなも自分にとって大きな意味を持っていた彼女の歌を聞いたり、シェアしたりして、彼女を元気づけてほしい」。

そして、8月16日のフランクリンの死を受けて、ヒラリー・クリントンは「彼女をリスペクトするのは当然だけど、それに加えて、私たちの目を、耳を、心を開いてくれたことに永遠に感謝するわ」と投稿していた。


Translated by Miki Nakayama

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