ナイキ「Just Do It」広告塔、コリン・キャパニックとNFLの戦い

今やリーグのキャパニック問題はより深刻化し、臆病者たちにしっぺ返しが来ている。2018年8月30日、仲裁人は、リーグの共謀に対するキャパニックからの異議申し立ての続行を認める裁定を下した。その4日後にESPNが伝えたところによると、ナイキは30周年を迎える不滅のスローガン『Just Do It』を掲げる広告キャンペーンの新たな顔として、キャパニックを採用するという。カメラを直視したキャパニックの白黒写真に、「何かを信じろ。全てを犠牲にすることになっても」のキャッチフレーズが彼の鼻筋を横切るように白抜きで書かれている。暗い背景にアフロヘアの彼の顔が浮かぶ様子は、教会のステンドグラス窓のようだ。

今では人権家としての活動の方が有名になった男が、ナイキの広告塔になることには違和感を感じる。1990年代に製造工場の搾取問題で非難を浴びた企業が、しかも労働者の日(米国の9月第1月曜日)に発表するとは(工場搾取問題に関してナイキへコメントを求めるメールを送ったが、返答がない)。しかし企業に対し、議論を呼びそうな政治姿勢を取るべきでないと言うつもりはない。今回のナイキの広告は、全てのジャージにスウッシュ(ナイキのロゴマーク)を付けたNFLを苦境に立たせるかもしれない。サイドラインにいるコーチたちのウェアにもナイキ・ロゴが付いている。ナイキは2018年3月、リーグにユニフォームやアパレル製品を提供する契約を8年間延長した。ナイキの顧客基盤は、ほとんどが白人のNFLの観衆と必ずしも一致していない。

選手による片膝つきポーズのメッセージに賛同せず、“国歌への冒涜”と誤って受け止めた人たちは、自分の持っていたナイキ製品を燃やして抗議し始めた。恐らく何らかの因果応報を表現しているのだろう。ビッグ&リッチのカントリーシンガー、ジョン・リッチは、バンドのサウンドマンがナイキのソックスをビリビリに破った写真をツイートした。また、アリゾナ・カージナルスの元セーフティだったパット・ティルマンをコラージュした広告写真も出回り始めた。ティルマンは9.11テロ後、フットボーラーとしてのキャリアを捨てて陸軍に入隊し、アフガニスタンで友軍の誤射により戦死した。2017年9月、ティルマンの家族が保守派の人々に対し、ティルマンの肖像を政治的宣伝に利用しないよう嘆願したにもかかわらず、現在も続いている。

ナイキは、このような反響に備えていたに違いない。ナイキの姿勢が明らかになって以降も、同社製のシューズやアパレル製品を購入しようという人々による多くの投稿が見られる。ナイキは間違いなくビジネス的な行動を取った。今度はNFLもそれに従うべきだ。

Translated by Smokva Tokyo

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