プリンスの新作のミュージックビデオのテーマ「銃による暴力」

プリンスの「メアリー・ドント・ユー・ウィープ」のビデオが公開された。

プリンスの「メアリー・ドント・ユー・ウィープ」のミュージックビデオが解禁された。テーマは、銃による暴力について描かれており、本楽曲はリリース間近のアルバム『Piano & A Microphone 1983/ピアノ&ア・マイクロフォン1983』に収録されている。

魂を震わす「Mary Don’t You Weep/メアリー・ドント・ユー・ウィープ」のプリンスによる情熱的なカバーのミュージックビデオは、アメリカの若者と銃による暴力に焦点を当て、プリンス自身の言葉がこのビデオをますますパワフルにしている。銃による子供の負傷者・死亡者の統計値を映し出したあと、ビデオはプリンスが自作の曲「ボルチモア/Baltimore」のために書いた文言を映し出す。この「ボルチモア」は、2015年に逮捕時の負傷が原因で勾留中に死亡したフレディー・グレイの事件のあとに書かれたものだ。「システムが壊れている。若者の命が消えないとこのシステムは修復できない。我々には新しいアイデア、新しい生き方が必要だ…」。このカバー曲は最近発掘された古いカセットテープに収録されていた。このカセットが録音されたのはプリンスがスパースターへの道を疾走し始めた頃で、アルバム『Piano & A Microphone 1983/ピアノ&ア・マイクロフォン1983』として現地時間9月21日にリリースされる。

このミュージックビデオが撮影されたのはニューヨークで、監督はSalomon Ligthelm。若い男の身体から抜けた魂が、横たわる自分を慰めるアフリカ系アメリカ人を見守る光景から始まる。そして微かに聞こえる音楽は、この男が曲の歌詞に呼吸を合わせるにつれて、プリンスのファンキーでジャジーなコードがこの男の息遣いと重なっていく。そして、この男の魂は家族や友だちが自分の死を悼む姿を見たあと、自分の遺体の後をついて自分の葬儀へと向かう。途中、プリンスは「ストレンジ・リレイションシップ/Strange Relationship」の一節を挟んで気分転換を図る。この曲は『サイン・オブ・ザ・タイムズ/Sign O’ Times』のためにレコーディングしたポップソングだが、なぜかこの映像の暗澹とした空気感にフィットする。そして、Ligthelmはこのパートの途中でこの男の母親の嘆き悲しむ姿を挟み込み、やるせない雰囲気を増幅している。そして、再びプリンスの言葉が登場して幕を閉じる。

他界する前の数年間、プリンスは慈善家として非常に積極的に活動していた。ボルチモアのグレイの死を知って、プリンスは「ラリー・4・ピース」コンサートを企画して母の日に開催し、市民に暴力について真剣に考えることを提案した。プリンス他界後に彼の友人でありCNNのコメンテーターのヴァン・ジョーンズがローリングストーン誌の取材に応え、プリンスはラリー・4・ピースのような機会を作って、相反する意見の人たちを一同に集めることをよく行っていたと教えてくれた。「彼はこういう結構トリッキーなことを数多くしていた。権力を持った連中は、プリンスに会える絶好の機会だと思って来るわけだよ。でも、実際は楽屋で連中の最大の敵と1時間過ごして、最後には敵と仲良くなる。もちろん、彼らはプリンスと会うことは一度もなかったよ。彼はこういうことを常にやっていたのさ」とジョーンズ。

『ピアノ&ア・マイクロフォン 1983』には30分強の演奏が収録されていて、プリンスが自身のヒット曲やその頃に考えていた新しいリフなどを、一人でピアノの弾き語りで演奏している。自身の曲「パープル・レイン/Purple Rain」、ジョニ・ミッチェルのカバー曲「A Case of You/ア・ケイス・オブ・ユー」、「When Doves Cry/ビートに抱かれて」のB面「17 Days(原題)」なども収録。これに関連したニュースとして、最近プリンス・エステイトはプリンスのアルバム約24枚のストリーミング配信を初めて可能にしたと報じられている。

Translated by Miki Nakayama

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